伯母が勢いよくドアを叩いている最中、中村部長が技術者の佐藤さんを連れて入ってきた。佐藤さんは高い技術を持ち、研究室の厚い暗証番号付きの扉さえ開けたことがあるほどだ。我が家の寝室のドアなど、彼にとっては造作もないことだった。鍵を開けようとしたところで、佐藤さんは私の方を見て躊躇した。私は首を傾げながら聞いた。「どうしたの?大丈夫だよ、ドアが壊れても弁償はさせないから」佐藤さんは首を振りながら答えた。「いや、それはいいんですがね、うちの業界では忌み嫌うことが多くて。ここはご自宅ですし、万が一のために何か証拠を残しておきたいんですよ」「私たちが証人になるよ」「そうそう、全員ここで見てるから」叔母と叔父が佐藤さんに口々に保証する。しかし、佐藤さんは首を横に振りながら続けた。「いやあ、そういう話はよく聞くんですが、人の証言って変わるものなんですよ。以前、似たようなことがありましてね。鍵を開けてあげたら、後で私が不法侵入したって言われて、結局数十万円払う羽目になったんです。それ以来、こういう依頼には慎重になりましてね」私は佐藤さんを安心させるように提案した。「では、私が録画するさ。その映像を佐藤さんにも送るので、それを証拠としてお持ちください」佐藤さんは少し考えた後、頷いた。私は手早くスマホを取り出して準備を整えた。「慎重なのはいいことだ。大丈夫、録画しているので、どうぞ始めてください」佐藤さんが鍵を開けている間、私は寝室の中での浅香たちの様子を想像していた。遮るもののない何もない部屋。今頃二人は布団の中に隠れているだろう。隠すためにはそれしか方法がないはずだ。そんなことを考えているうちに、鍵が開いた。最初に部屋に入った佐藤さんは、その場で硬直して立ち尽くした。次に義母が彼を押しのけて勢いよく中に入った。「浅香、大丈夫よ!お母さんが......」しかし言葉の途中で、彼女は慌てて後ろの人を押し戻した。「出て行きなさい、早く出て!みんな外へ!」後ろの人たちは義母の言うことなど聞く耳を持たず、次々と部屋へ突入してきた。「浅香!」「姉ちゃん!」続いて伯母、叔母、叔父、そして従兄まで全員が部屋に入り込んだ。誰一人として例外なく、呆然とその場に立ち尽くし、次に視線を逸らし始めた。
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