「そのまま……ああ……もうすぐミルクが出てきます……」彼女は両手を私の首に回し、強く引き寄せて私の頭を胸に押しつけようとした。私も抵抗せず、口でミルクの源を探した。しかし、その時だった。「バンッ」という音とともに、部屋のドアが突然開かれた。「山下!早く隠れさせて!」入ってきたのは社長だった。彼は顔に怯えた表情を浮かべ、慌てて私の方に駆け寄り、隠れられる場所を必死に探し始めた。私が何が起こっているのかと疑問に思っていると、一人の険しい表情をした女性がすぐ後ろから隔間に入ってきた。「剛志!このクソ男、とうとう捕まえたわ!」と言い放つ。今や部屋には四人が互いに顔を見合わせており、場は非常に気まずい雰囲気に包まれていた。その女性は私たちに向かって歩み寄り、勢いよく社長の髪を掴むと、彼の鼻先に指を突きつけて罵声を浴びせ始めた。この突発的な出来事で、私はすっかり興が冷めてしまった。さくらも慌てて床に落ちていたキャミソールを拾い上げ、急いで着直すと、そのまま部屋を後にした。社長は私をじっと睨みつけ、その目には何か助けを求めるような必死さがあった。「山下!こっちが俺の妻だ。彩香さんって呼べばいいよ。ちょっと誤解があってね、頼むから彩香にうまく言ってくれ!」彩香さんはとても若く見え、せいぜい30歳くらいだろう。以前、社長の口から彼女のことを聞いたことはあったが、実際に会ったことはなかった。まさか社長の妻がこんなに若いとは思わなかった。この状況で、私は社長を助けるために言葉を発するしかなかった。「奥様、怒らないでください。社長は何もしてません、私が来たがったせいです……」私は、怒りの真っ最中にいる彩香さんが矛先を私に向けるだろうと思っていた。しかし、彼女は驚くほど優しく私に接してくれた。「あなたが山下なの?剛志からよくあなたのこと聞いてるわ。これからはあまり彼と一緒に悪ふざけしないでね。彼に変なことを教え込まれないように気をつけて!」しかし彩香さんが話している最中、社長は突然彼女の手から逃れ、そのまままっすぐオフィスのドアから駆け出していった。彩香さんは少しの間社長を追いかけたが、最終的には諦めたのか、首を振りながら涙ぐんで隔間に戻ってきた。彼女はソファに座り、私に向かって自分の辛さを語り始めた。社長が妻を放ったらかしにして、
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