今日、交代で外来を担当していた時、思いもよらぬ患者がやってきた。青年は色白で清潔感があり、とても肛門に哺乳瓶が詰まっているようには見えない。哺乳瓶の形が特異なため、どうしても自力では取り出せず、やむなく肛門科に足を運んだらしい。これまで肛門科医として、異物が詰まった患者を数多く診てきたので、こうした事例にはすでに慣れていた。また、同性愛者にも何度も接してきたため、驚くこともなく淡々と対応していた。カルテを書きながら、診察カードか保険証を提示してもらうよう促したところ、青年は顔を赤らめ、扉の外を気にしている。私が不思議に思っていると、外から耳に馴染みのある声が聞こえてきた。「お待たせしました、先生。診察カードはこちらにあります」その声に驚いて顔を上げると、目の前には信じられない光景が広がっていた。そこに立っていたのは、私の夫、岩田武だったのだ。雷に打たれたような衝撃が走ったその瞬間、青年が恥じらいながら「ダーリン、どうしてこんなに遅いの?僕、もう限界なんだよ」と甘えた声で言うのが聞こえた。その瞬間、診察室の空気が凍りつくように静まり返った。
最終更新日 : 2024-12-02 続きを読む