彼女の表情には、まるで自分が被害者であるかのような、途方もないほどの悲しみが浮かんでいた。 局長は怒りに震えながら足を踏み鳴らした。 「お前は狂っている!俺はお前の嘘に騙され、理沙を冤罪に追いやったんだ!」 香織は嘲笑った。 「それは、あんたたちの頭が悪いってだけでしょ?」 「だから、私を責めれば自分は何も悪くないって思ってるんだろうけど、そうはいかないよ」 「結局、あんたたちだってロクな人間じゃない。ははは!」 「お前!」 局長はその場で気を失い、倒れ込んだ。 剛志は拳銃を抜き、彼女に向けて叫んだ。 「もうたくさんだ!香織、お前を逮捕する!」 事件の凶悪さから、数日後、香織は死刑を言い渡された。 そして、私はついに葬られることになった。 烈士陵園、両親の合葬墓の隣だ。 「これで、少しは理沙にも顔向けできるだろう」 局長は悔しさに涙を流しながら呟いた。 「だが、俺は彼女に申し訳ない......彼女のご両親にも」 「いや、全ては俺の責任だ」 剛志は私と両親の墓前にひざまずき、魂を失ったかのように、背中を丸めながら呟いた。 「理沙を死なせたのは俺だ。そして、局長......実は香織が言ってたことは、かなり当たってるんじゃないか?」 局長は驚き、剛志を見つめた。 彼は顔を上げ、一言一言をかみしめるように惨めな笑みを浮かべた。 「俺たちも、結局ロクな人間じゃなかったんだ」 「そうでなきゃ、なぜ彼女を信じなかった?」 局長が叫んだ。 「剛志!やめろ、撃つな——」 “パン!” 銃声が響き、剛志は血の海に倒れた。 「理沙、もし来世があるなら......」 「来世なんて、ないわよ」 突然、暖かい感覚が全身を包み込み、私は静かに目を閉じた。 陽の光の中で、自分が煙のように消えていくのを感じながら。 たとえ来世があったとしても、もう二度と会いたくはない。
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