高校入試の時、母は私の志望校を勝手に書き換え、私に黙って志望校からの合格通知を拒否した。そして、全市で三位という成績にもかかわらず、市内で最も評判の悪い専門学校に入学させられた。私は崩れ落ち、泣き叫んだ。すると母は、親戚や近所の人々の前で涙を流し、「うちは貧しいのに、栞はある男の子と一緒に通うために、わざわざ高い学費を払って名門高校に行きたがっているんだ」と言い出した。「出身なんて関係ないのよ。私の時代だって、専門学校卒だって十分に立派な未来があったんだから」彼女の演技に皆が感銘を受け、口々に私をなだめ始めた。「専門学校からでも大学には行けるし、そんなに心配することじゃないよ」と。専攻から大学への進学がかかった試験のとき、彼女は私の受験票を破り捨て、一年間の努力が水の泡になった。怒りに震える私に、彼女は真剣な表情で言った。「今じゃ大学生なんてゴロゴロいるわよ。就職なんて望めないんだから、学校が手配する安定した仕事を受け入れるのが一番よ」誰も、彼女の言う「安定した仕事」が工場でネジを締める単純作業のことだとは知らなかった。周囲はまたしても彼女に同調し、「現実を見据えて進むべきだ」と助言してきた。卒業後、彼女は「君のためだ」と言って、変な男を連れて見合いを勧めてきた。「私はたくさんの人と会ったんだから、君より人を見る目はある。この男は真面目で、君を大事にしてくれるから、彼と一緒に落ち着いた人生を送ってほしい」と。誰も知らない。彼女の価値観では、再婚した男のほうが優しく、子持ちの男はさらに良い。なぜなら、自分で産む必要がないからだ。お金がない男は「誠実」と呼ばれ、金持ちの男は浮気をするというのが、彼女の信念だった。結婚の際、私は彼女が用意した「マザコンの男」との結婚を拒否したため、母は私の結婚式に出席しなかった。彼女は「章彦みたいな金持ちの息子は努力しないし、遊び人よ。君と結婚したのも遊び半分だわ」と言い切った。予想通り、またしても皆が彼女の味方をした......「だって彼女はあなたのお母さんだもの。お母さんがすることは全てあなたのためでしょ?」本当にそうだろうか?本当に、そうなのか?「栞!私の言ってること、聞こえてるの?」晴美は、私がしばらく黙っているのにしびれを切らし、不機嫌そうに言った。「何してるの?さ
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