All Chapters of スウィートの電撃婚：謎の旦那様はなんと億万長者だった！: Chapter 341 - Chapter 350

稲葉商治の部屋の中にて。小林水子と稲葉商治は出かけようとしていたが、薬を持って入ってきた賀茂時也を見て、小林水子は心配そうに尋ねた。「華恋が病気？」賀茂時也はうなずき、説明書を稲葉商治に渡した。「これ、副作用があるかどうか見てみて」稲葉商治は一通り見て、「副作用はないから、安心して服用していいよ」と答えた。その後、彼は尋ねた。「どうして病気になったんだ？」「わからない」賀茂時也は眉をひそめて言った。「モロッコの医者は、たぶん気候風土が合わなかったんだろうと言っていた」稲葉商治は「じゃあ、見てみよう」と言い、3人は賀茂時也の部屋に戻った。南雲華恋は目を閉じる間もなく、ただじっと彼らが入ってくるのを見ていたが、すぐに小林水子に視線を落とし、賀茂時也の存在を無視しようとした。「華恋ちゃん」小林水子は心配そうに南雲華恋を見た。「どこが具合悪い？」南雲華恋は首を振った。このくらいの不調は、心の問題に比べれば全く大したことではなかった。稲葉商治は南雲華恋の脈を取った後、舌と目を見て言った。「大した問題はない。ただの熱だから、この薬を飲めば大丈夫」賀茂時也はうなずき、お湯を入れるために動いた。小林水子は南雲華恋の手を握りしめ、心配そうな顔をしていた。南雲華恋は軽く笑った。「ただの熱だから、大丈夫よ」彼女は準備万端の小林水子と稲葉商治を見て言った。「出かけるの？」「もう行かない」小林水子は急いで言った。南雲華恋は微笑みながら言った。「証拠を探しに行くの？」当てられたので、小林水子は、隠さずにうなずいた。「じゃあ、早く行きなさい。スキー場には防犯カメラがないけど、目撃者がいるかもしれない」南雲華恋は咳払いをして言った。「時間が経つほど、水子に不利だよ」「でも......」小林水子は眉をひそめた。「心配しないで、私は大丈夫」南雲華恋は言った。「早く行きなさい。ここにいても、回復がはやくならないよ」稲葉商治は言った。「水子、華恋さんが言った通りだ。ここには時也がいるから、もう心配しなくても大丈夫だよ」小林水子は賀茂時也を見た。彼はすでにお湯を持って、戻ってきていた。「わかった......」小林水子は自分がここにいるのが余分だと思った。「じゃあ、証拠を探しに行くね」南雲華恋は手を振りなが

南雲華恋は促した。「言ってみて、何を言っても怒らないから」「実は、もし最初から華恋が南雲グループのCEO選に立候補することを知っていたら、その時の私は必ずしも支持すると限らない。だって、南雲華名は賀茂哲郎の助けを得ている。その名前だけで株主は彼女に賛成するだろうから。でも、時也さんは違った。彼は最初から最後まで華恋を信じていたし、一度も疑いの言葉をかけなかったはずよね。彼がすごい観察力を持っているからとか、愛する人に対して自信を持っているからとか、いろいろ言えるけど、私はただ一つ知っている。それは、本当の夫婦ならお互いに支え合うべきだということ。私の両親のように、いつも足を引っ張り合うんじゃない」「ごめんなさい」南雲華恋は小さく呟いた。「気にしないで」小林水子は一息ついてから言った。「それよりも、どうしてその質問をするの？」南雲華恋は小林水子を見つめて、まばたきを一つした。「目撃者、見つかった？」この話題になると、小林水子は少し眉をひそめて困った表情を浮かべた。「そんなに簡単じゃないよ。でも、ホテルのマネージャーが宿泊者名簿を提供してくれたわ。あのスキー場には宿泊客しか入れないから、ひとりひとりチェックすれば目撃者が見つかるはずよ。それと、まだ私の質問に答えてないよ」南雲華恋はにっこりと笑った。「みんなそれぞれ悩みを抱えているのよ。これ以上心配させたくない」と思いながら答えた。「大丈夫、たぶん病気で、考えすぎただけ」その時、隣の部屋では、しばらく沈黙していた稲葉商治が再び口を開いた。「華恋さんは本当に、君がSYの社長だって知ってるのか？」賀茂時也は眉をひそめ、額の青筋が激しくびくびくしていたが、冷静を保ってもう一度答えた。「言っただろう、確信はない。でも、彼女が私に『嘘ついたの』と尋ねた。そのこと以外、ほかにあるか？」稲葉商治は酒を一杯注ぎ、賀茂時也に渡しながら言った。「それで、どうするつもり？」賀茂時也はその酒を受け取らず、目を細めて、少し無力にソファに沈んだ。「僕がどうするかじゃなくて、南雲華恋がどうするかだ」「今の君、何に似てるか分かるか？」稲葉商治は一口酒を飲んでから、にやにやして言った。賀茂時也は無視した。稲葉商治は自問自答した。「死刑判決を待っている犯人に似てる」そう言うと、稲葉商治は賀茂時也の耳元

「お家の方はどう？」賀茂時也は不自然に話題を切り替え、南雲華恋に話をさせようとした。たとえ南雲華恋が林さんと話すだけでもいい。もう長い間、南雲華恋の声を聞いていなかった。基本的に彼がいると、南雲華恋はほとんど話さない。「え、ええ、大丈夫......」林さんは南雲華恋を見ると、彼女が冷たい顔をしているのに気づき、ただうなずいて車に乗り込んだ。まるで以前の賀茂時也のような態度だ。林さんは驚いて目を大きく開けた。どういうことだ？もしかして魂が入れ替わったのか？「仕事はどうだ？」賀茂時也はそのまま車に乗り込んだ。「そういえば、南雲グループはどうなってる？」林さんは今、100%確信している。彼らは絶対に魂が入れ替わっていると。そうでなければ、どうして時也様が南雲グループのことを聞くんだ？これを考えると、すべての不合理が合理的に感じられた。「南雲グループは順調です。南雲さんが会社にいないですが、南雲さんに反発していた人たちは辞めましたから、残った人たちは大人しく仕事をこなしています。今は南雲さんのデザインとイメージキャラクターを待っている段階だ」南雲華恋は眉を動かした。彼女はデザインのことをすっかり忘れていた！彼女は眉を押さえ、深く息を吸った。「あ、そういえば、南雲さん」林さんは賀茂時也を見て言った。「お父さんとお母さんが数日前に来て騒いでいましたが、追い払っておきました。問題は、なかったですか？」「よくやった」話をしたのは南雲華恋だった。林さんは非常に驚いた。彼は賀茂時也のことばかり気にしていたが、突然、女性の声が聞こえたので、ちょっとぞっとした。気づくと、それが本物の南雲華恋の声だとわかり、気まずそうに後部座席の南雲華恋を見た。「褒めていただいて、ありがとうございます」話しているうちに、車はすでに別荘に到着していた。賀茂時也はすぐに車を降り、南雲華恋の側に回りながら、車のドアを開けた。南雲華恋は眉をひそめ、彼の目に浮かんだ微笑みを見ながら考えた後、車から降りた。林さんは南雲華恋の後ろを、歩調を合わせてついていく賀茂時也を見ていた。突然、ある有名なセリフを思い出した。――その人、犬みたいだな。彼は目を擦り、再び擦った。それが錯覚ではないと確信した後、ひやっとして北村栄子にメ

宇都宮峯は笑いながら言った。「大したことではないさ。あ、そうだ、今どこにいるの？」南雲華恋は答えた。「家にいるよ」その瞬間、向こうで水を吹き出した音が聞こえた。南雲華恋は驚いて尋ねた。「どうしたの？」宇都宮峯は口元を拭いながら答えた。「な、なんでもない......」彼のかわいそうな親友は、また空振りをしてしまった。これって、もしかして天の声が蘇我貴仁に「もう諦めなさい。君たちには縁がない」と暗示しているのでは？宇都宮峯はスマホを持ちながら、一瞬、蘇我貴仁に電話をかけて、この情報を伝えるべきかどうか分からなくなった。......翌日。南雲華恋は賀茂時也から無事到着したという連絡を受けた後、OKとだけ返事をした。この返事で、南雲華恋も賀茂時也も安心した。賀茂時也は安心した。南雲華恋がまだ自分に返事をしてくれたから、二人の関係には修復の可能性があると思えたから。南雲華恋が安心したのは、昨晩賀茂時也が出発した後、ずっと彼を心配していたからだ。彼の無事の知らせを受けて、ようやく安心した。返信したのは、彼がもう報告しないのではないかと心配だったからだ。この矛盾した気持ちがずっと彼女を苦しめていた。しかし、南雲華恋が南雲グループに到着し、整然としたオフィスの雰囲気を見たとき、ようやく仕事に集中できた。「社長」北村栄子は南雲華恋に新しく入社したメンバーを紹介した。「こちらの皆さんは、それぞれのポジションで多年の経験を持っているベテランです。履歴書を見てみてください」南雲華恋はざっと履歴書を見てみたが、これらの人々は異なる会社から来ているにもかかわらず、共通点があることに気づいた。35歳以上で、以前は大企業に勤めていた。しかし、コネがないため、長年頑張ってきたが、未だ下働である。南雲華恋は彼らを一瞥した。「皆さん、ようこそ。これから一緒に成長していきましょう。よし、仕事に戻ろう」上司が大きな夢を語るのを期待していた数人は、南雲華恋の迅速で厳格な対応に驚いていた。オフィスを出て、まだ茫然としていた。北村栄子は皆が去った後、嬉しそうに南雲華恋の側に寄ってきて笑いながら言った。「社長、どうでした？デザイン案、できました？」南雲華恋は賀茂時也のことを忘れていたが、北村栄子に言われて再び思い出し

南雲華恋深呼吸して、震えながら賀茂時也の名前を入力した。「もし写真が必要なら、少し時間がかかるかもしれない」南雲華恋はその時初めて気づいた。賀茂時也との写真はほとんどないことを。もし福谷早苗が賀茂時也の写真を要求するなら、クックからの完成品を待つしかない。福谷早苗：「大丈夫、名前を見ればすぐにわかるはず。おそらく同じ名前の人は少ないだろうし、賀茂時也に関する資料を全部送るから」南雲華恋は感謝して言った：「ありがとう、暇なときに耶馬台に来てね、歓迎してる」福谷早苗は「どういたしまして」のスタンプを送り、続けてメッセージを送ってきた。「学校のとき、同級生から聞いたよ。あなたは耶馬台賀茂家の後継者の婚約者だって。どうだった、もう結婚したの？」南雲華恋はスクリーンを見つめて少し驚いきながらも、福谷早苗が数年連絡がなかったなのに、こんなに熱心の原因が分かった。社会と関わることが多くなるほど、南雲華恋はこの世に無償の善意などないことを理解していた。南雲華恋：「結婚していない」福谷早苗は南雲華恋の意味を誤解した。「じゃあ、いつ結婚するつもり？」南雲華恋：「......」「つまり、私たちは結婚しない。婚約を解消した」そのメッセージを送ると、福谷早苗の返信が明らかに遅くなった。「残念だね」「うん」南雲華恋は話を続けたくなくて、「情報がわかったら、教えてもらえないか？」15分後、福谷早苗：「わかった」南雲華恋は軽く息を吐き、立ち上がろうとしたその時、電話が鳴った。賀茂時也からだった。南雲華恋は思わず電話を取ったが、受け取った瞬間、後悔した。「華恋」賀茂時也の低い声が携帯を通して耳に響いた。南雲華恋は耳がかゆくなり、心臓が激しく鼓動を打った。彼女は心臓を押さえながら悩んだ。沈黙が二人の間に広がり、南雲華恋はその重圧に耐えかねていると、再び賀茂時也の低く甘い声が耳に届いた。「すごく会いたい」簡単な一言で、南雲華恋の心は一気にかき乱された。慌てて携帯を耳から離し、呼吸が落ち着くまで待ち、冷たい顔で言った。「何か用？」相手の声が響く。「やっと話してくれた？」南雲華恋：「......」「用がなかったら、切るよ」「待って、」賀茂時也は体をまっすぐにして言った。「君のカードに4