All Chapters of 契約終了、霜村様に手放して欲しい: Chapter 391 - Chapter 400

外で待機していた医者やボディーガードたちは、彼が抱えている女性がしっかりと包まれているのを見て、すぐに何が起こったのか理解した。どうりでこの社長が夕方近くまでドアを開けなかったわけだ。体調が良くなった途端に、愛しい妻とベッドで遊んでいたのだ。彼らは数十人もいるが、心の中では全てを理解しつつも、表面上は何も見なかったふりをしていた。霜村冷司の腕の中にいる和泉夕子は、外に大勢の人が待っているのを見て、真っ白な顔が一瞬で真っ赤になった。彼女はすぐに頭を下げ、顔を霜村冷司の胸に深く埋めた。霜村冷司はこれらの人々を全く気にせず、和泉夕子を抱えたまま人混みを抜けて病院の外へと向かった。和泉夕子が車に乗り込むと、顔の赤みが少し引いたが、院長が医者たちを連れて見送りに来た。彼女は霜村冷司が突然車のドアを開けるのを見て、恥ずかしさのあまり彼のスーツの上着を引っ張って顔を隠した。霜村冷司はその姿を見て、そんな和泉夕子がとても可愛く感じ、思わず彼女を求めたくなった。院長はまだ英語でペラペラと話し続けていたが、霜村冷司は彼に背を向けて、長い指を振った。院長はすぐに反応し、医者たちを連れて急いで去った。霜村冷司は運転手を下ろし、自ら車を運転して郊外へと向かった。片手で車を停めた後、後部座席でぼんやりしている和泉夕子を振り返った。「夕子、私たち、まだ車の中では……」その言葉を聞いた和泉夕子は、杏のような目を怒りで見開いた。「霜村冷司、いい加減にして！」彼女は口を緩めるべきではなかった。この男は一度味を占めると、全く節度がない。霜村冷司は何も言わず、片手で白いシャツの襟を外し、長い首を露わにした。深い魅惑的な目で彼女の体を見つめながら、わざと喉を上下に動かした。和泉夕子は無意識に彼を一瞥した。高貴で禁欲的な顔をしているのに、こういうことに関しては全く節度がない。彼女は体を無理に支え、ドアを開けて車を降りようとしたが、霜村冷司は素早く車を降り、彼女より先にドアを開けて後部座席に座り込んだ。彼の高くて引き締まった体が、逃げようとする彼女を車内に押し込んだ。彼の香りと共に、覆いかぶさるようなキスが降り注いだ。彼女は彼の肩に手をかけ、指を彼の濃い髪の間に差し込み、彼女をキスする彼を見下ろした。彼は彼女の耳元で

和泉夕子は夜が明けるまでぐっすり眠り、目が覚めたときには全身が車輪で轢かれたように痛み、動くことすらできなかった。彼女は男性の胸に抱かれ、そのたくましい胸板と完璧な腹筋を見つめた。男性は彼女が目を覚ましたのを見て、骨ばった指で彼女の髪と頬を撫でた。和泉夕子は慌てて彼を押しのけ、ベッドから降りようとした。しかし、体がベッドの端にたどり着く前に、男性に引き戻されてしまった。彼女は柔らかいマットレスに倒れ、助けを求めるような目で霜村冷司を見つめた。霜村冷司は数秒間眉をひそめた後、目の奥に微かな笑みを浮かべた。再び車輪で轢かれた後、男性は彼女を浴室に連れて行き、きれいに洗ってから、バスローブを着せてダイニングルームに連れて行った。長い西洋風のダイニングテーブルには、さまざまな料理が並べられ、使用人たちはいつでも別荘の主人の指示を待っていた。霜村冷司は和泉夕子を抱きながら、主席に座り、金色のスプーンを手に取り、鶏団子の生姜スープを一口すくって彼女の唇に差し出した。「まずはスープを飲んで、体を元気にしよう……」和泉夕子はテーブルに並んだいくつかのスープを見て、意味深な笑みを浮かべる霜村冷司を一瞥した。彼は明らかに女性にとって栄養になる食べ物を研究し、使用人にこれらを用意させたのだ。和泉夕子は彼を怒って睨んだが、自分の体が持たないことを恐れ、彼が差し出したスープをすべて飲み干した。いくつかの滋養スープを飲んだ後、霜村冷司はナイフとフォークを手に取り、彼女の腰を抱きながら、たんぱく質豊富なステーキを切り始めた。和泉夕子は自分で座って食べたかったが、彼はしっかりと抱きしめて離さなかった。彼女は仕方なく男性の膝の上に座り、彼の投げかける食べ物を待つことにした。男性がステーキを切る動作はゆっくりとしていたが、それが彼を非常に高貴で優雅に見せていた。その時、夕焼けの光が窓から差し込み、彼の体に金色の光をまとわせた。その淡い光が彼の体から広がり、生まれつきの気品をさらに清らかで超然としたものにしていた。和泉夕子はそんな彼を見つめ、かつての自分がなぜ彼に無我夢中で恋をしたのかを突然理解した。霜村冷司はステーキを切り終え、再び和泉夕子の唇に差し出し、深い愛情を込めた目で彼女に食べるように示した。和泉夕子は彼を

和泉夕子は、不安定な彼を見つめていた。まるで昔の霜村冷司を見ているかのようだった。その頃の彼も、しばしば気分が変わりやすかった。彼女はそんな彼を少し怖がっていたが、以前のように黙っていることはせず、自分に原因があるのではないかと考え始めた。二人の会話を何度も思い返し、ようやく理解し始めた。彼女は彼にキスをしている男に言った。「冷司、私は子供が欲しくないわけじゃないの。ただ、まだ心の準備ができていないだけ。誤解しないで」男はその説明を聞いて、目に一抹の罪悪感が浮かんだ。彼は和泉夕子を抱きしめ、少し力なく、彼女の首元に顔を埋めた。「夕子、ごめん、私が悪かった……」彼は不安だった。彼女がいつか自分を捨てて去ってしまうのではないかと恐れていた。その不安な感情が彼を苦しめ、彼女を手に入れても、それが現実ではないように感じさせた。まるで夢のような美しい幻が、いつかは消えてしまうのではないかと感じていた。和泉夕子は彼の不安を見て、自ら彼の首に腕を回し、彼の唇にキスをした。「冷司、私はもうあなたと一緒にいるの。もう不安にならないで……」彼女は自らキスをし、以前のように優しく彼の名前を呼んだ。驚いた霜村冷司は、数秒間彼女を見つめた後、深くキスを返した。彼の夕子が言った通り、彼女はもう彼と一緒にいるのだから、何を恐れる必要があるのか。和泉夕子は陽光が差し込む部屋で目を覚ました。まるで長い眠りから覚めたように、疲れが取れ、少し元気を取り戻した。彼女は無意識に横を向いたが、あの馴染みのある姿は見えず、浴室から水の音が聞こえてきた。磨りガラスに映る長身の影を見て、和泉夕子は微笑んだ。彼女はベッドから起き上がり、バスローブを手に取り、別の浴室でシャワーを浴びようとした時、床に落ちていた携帯電話が鳴り続けた。この半月の間、柴田南と和泉夕子は連絡を取り合っていた。ただ、霜村冷司が柴田南を家に入れなかったため、二人は携帯電話でしか連絡を取れなかった。和泉夕子は携帯電話を持って寝室を出ると、柴田南に尋ねた。「航空宇宙局の新しい責任者は決まったの？」外国人の仕事の効率は遅いものだ。ライダーが解任された後、航空宇宙局はプロジェクトの新しい責任者を探していた。しかし、半月が過ぎてもまだ決まっておらず、和泉夕子は手

和泉夕子の顔は真っ赤になり、沙耶香に反論しようとしたその時、ビデオに見覚えのある姿が映った。白いスーツを着た男が、沙耶香の手からタバコを奪い取り、ゴミ箱に捨てた後、彼女を見下ろした。「何度言ったらわかるんだ、タバコはやめろって。どうしていつも聞かないんだ？」和泉夕子はビデオの向こう側に突然現れた霜村涼平を見て、呆然と立ち尽くした。沙耶香はそれ以上に驚いていた。霜村涼平がクラブに来るとは思ってもみなかったし、彼が自分に話しかけるとはさらに予想外だった。彼らは夜のクラブでの一件以来、ほとんど接触がなく、まるで絶交したかのような状態だった。しかし、霜村涼平は数ヶ月ぶりに再び彼女のクラブに現れ、以前のように彼女のタバコを奪った。これには沙耶香も理解に苦しんだ。前回病院で彼が非常に美しい女性を婦人科に連れて行くのを見た時、彼はその女性が妊娠しているかのように慎重に支えていた。彼は頻繁に彼女を変えるが、一度付き合うと非常に真剣だ。新しい恋人がいるのに、なぜ彼女を探しに来たのか？沙耶香は頭を抱えたが、霜村涼平は特に表情を変えず、ビデオの中の和泉夕子を一瞥した。「和泉さん、友達をちょっと借りるよ」そう言って、ビデオ通話を切った。和泉夕子は通話終了の画面を見つめ、ゆっくりと我に返った。沙耶香と霜村涼平の関係は、複雑と言えば複雑だなぁ。和泉夕子は沙耶香に霜村涼平についてどう思っているか尋ねたことがあるが、彼女はただの一時的な関係だと言った。しかし、彼らは三年間も付き合っていた。本当にただの一時的な関係なのか？和泉夕子は考えたが、感情の問題は当事者に任せるべきだと思った。彼女は携帯電話を置き、回転階段を下り始めた。この数日間、体がバラバラになったようで、階段を下りるのも足が痛む。一歩一歩、階段を下りてリビングにたどり着き、掃除をしている二人の使用人に近くの店について尋ねた。使用人は彼女が別荘を出ようとしていることに気づき、すぐに尋ねた。「和泉さん、何か必要なものがあれば、私たちが買ってきます」和泉夕子は使用人がそう尋ねるのを聞いて、霜村冷司が彼女を一人で外出させないように指示していることを理解した。彼女は特に何も言わず、絵を描くために必要な道具をすべて使用人に伝えた。使用人はそれを聞いて、敬意

午前中ずっと忙しくしていた霜村冷司は、ようやく書斎から一束の製図道具を持ってきた。和泉夕子が手を伸ばして受け取ろうとしたが、彼は彼女の手を握り、別の書斎へと連れて行った。この書斎は前の部屋よりも少し広く、陽光が差し込み、ヨーロッパ風のインテリアに包まれてとても温かい雰囲気だった。霜村冷司は道具を長い机の上に置き、長い指を上げて、愛情深く和泉夕子の短い髪を撫でた。「夕子、この書斎でいいか？」「うん、大丈夫」彼女は建築に関する図面を描くために、この木製の長い机が十分に大きくて広いので、ちょうどいいと思った。彼女が机の前に座り、図面を広げて設計を始めようとしたとき、男は彼女を抱き上げた。和泉夕子は彼の腕の中に落ち、抵抗と恥ずかしさでいっぱいの目で彼を見上げた。「やめて……」霜村冷司はその言葉を聞いて、白い顔に再び笑みを浮かべた。「まだ昼食を取っていないだろう。まずは何か食べよう」彼の意図を誤解した和泉夕子は、顔を赤らめて彼の硬い胸に顔を埋め、彼に抱かれて食堂へと向かった。午後一時、柴田南は相手とスタイルについてのコミュニケーションを終え、すべてを和泉夕子に送って、まずはラフスケッチを描くように頼んだ。和泉夕子はスマートフォンの画面を何度も滑らせて見て、大まかな方向性を掴んだ。彼女は書斎に来て、机の前に立ち、ペンと定規を手に取り、図面に描き始めた。ワシントンの四月から五月の初春の暖かい陽光が、窓の外の木々を通して彼女の体に斑点のように降り注いだ。その白く美しい顔が光の中で半分明るく半分暗くなり、さらに魅力的に見えた……窓の下に座っている男は、ソファに斜めに寄りかかり、一方の手で本を持ち、もう一方の手で頭を支えていた。霧のように淡い目が本から離れ、ゆっくりと図面に集中している彼女に向けられた。一目見ただけで彼はその中に溺れ、暗い星のような目に徐々に光が灯った。彼は静かに彼女を見つめ、彼女は静かに図面を描き、二人は書斎で温かく美しい時間を過ごしていた……和泉夕子は午前中ずっと図面を描いていて、目が疲れてきたので、手を上げてまぶたを揉んだ。彼女のそばにいた男はすぐに立ち上がった。彼は彼女の前に来て、まだ描き続けようとする彼女の手を押さえた。「もう描かないで、目が疲れすぎるといけない」和泉夕子は