「こんにちは」ぎこちない日本語の声が電話越しに聞こえた。この声に海咲はすぐ気づいた。以前、健太の携帯で彼女に電話をかけてきたあの人だ。「私です。この携帯の持ち主が連絡を取りたかった人です。私の名前は温井海咲。今、イ族に来ています。もし可能なら、住所を教えていただけませんか?もしくは、この携帯をこちらに送っていただけますか?それから、携帯を発見した場所を教えていただければ、謝礼をお渡しします」彼女はどうしてもその場所を知る必要があった。健太はどんなに困難な状況でも、彼女に安心させるための録音を残していた。それは、彼が解毒薬を探すために命をかけていた証拠だった。健太のその恩義を、彼女は返
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