第296話 神医の名手、黒崎剛志

みんなが去った後、西村京はほっとして地面に倒れ込んだ。田中仁は手を振り、部下たちは彼を引きずって連れ去った。

救命室の明かりはまだついていた。田中仁、陽翔、三井助の三人は緊張したまま待っていた。夜明けが近づくまで、手術室の明かりは消えず、三人は一緒に立ち上がって出口に向かった。医者が中から出てきて、マスクを外した。

田中仁が先に尋ねた。「どう？彼女の状況は？」

医者はため息をついて言った。「酸素不足が長すぎました。救命はできたけど、三井さんが目を覚ますのは難しいかもしれません…」

田中仁の両目には絶望が浮かび、声に少し震えがあった。「お前……何言ってんだ？」

「田中さん、俺たちの医療技術じゃもう無理だ。三井さんは植物人間になる可能性が高い」

「そんなはずない！」三井助は真っ赤な目で鋭く言った。「鈴ちゃんが植物人間になるなんて、絶対にない」彼は断固として信じなかった、そんな結果になるなんて。

陽翔もその瞬間、完全に動揺した。「他に方法はないの？」

医者は軽く首を振った。まるで彼らに死刑宣告を下したかのようだった！しかし、一瞬考えてから続けた。「もしかしたら、一人だけ方法があるかも」

この言葉を聞いて、田中仁、陽翔、三井助の三人の目が一気に輝いた。みんな彼を引き寄せて。「どんな方法？鈴ちゃんを救えるなら、家がボロボロになっても構わない」

医者はため息をついた。「ただ……彼が鈴ちゃんを救うために動いてくれるかもしれない」

「彼って誰？どこにいるの？今すぐ探す人を派遣するよ」陽翔が焦って言った。

医者は唇をかんで困った顔をした。「彼は医術はすごいけど、行方がわからないんだ。普通の人には見つけられないし」さらに、「それに、三井さんのゴールデンタイムはもうすぐ終わる。もう少し遅れると…」と医者は言葉を続けなかった。

三井助が急いで尋ねた。「ゴールデンタイムはあとどれくらい？全力を尽くすから、どんな結果でも構わない」

「あと六時間」

「六時間？」

「そう、だから……本当に難しい！六時間以内に見つけられれば、三井さんは救えるかもしれない。そうでなければ…」

田中仁はここで何かを思い出したように言った。「あの人って、世界的に有名な神医・黒崎剛志のこと？」

医者は頷いた。「そうだ、彼だ！ただ、黒崎さんはいつも行方不明で、誰も居場所を知らない」言い終わ