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第6話

昔彼がこう言ってきたら、きっと嬉しかったと思う。しかし今は心に何の感動もなかった。

「私はそんなに大人じゃない。私を傷つけた人を許せない。もう離れてくれる?」と伝えた。

「ママ、お願いだよ、もう一度チャンスをちょうだい。僕は......」

安平は悲しげな表情で懇願した。

しかし私はもう彼の気持ちには無関心だった。

ちょうど放課の時間になり、私は新しく雇った店員に店を任せて、幼稚園に翔君を迎えに行った。

安平はタクシーに乗り、私の後を追った。

そんな道も私の家とは無関係だし、彼がどうするかは知らない。

私はすぐに幼稚園に着き、校門は賑やかだった。

「ママ、翔君はママがすごく恋しいよ!」

小さな彼は先生から離れ、私に向かって腕を広げて飛び込んできた。そして自分が作った陶器の人形を抱えて私の胸に押し付けた。

「今日は先生が陶器の人形作りを教えてくれて、翔君は一番好きな人、ママを作ったよ!」

私は彼の頬にキスをして言った。「すごく上手だね、よくできた!」

小さな彼は照れくさそうに私の腕の中に隠れた。「だって、ママがとてもきれいだから、翔君も上手にできたんだよ」

子供は父親に似て甘い言葉を口にする。それに私はすっかり夢中になっていた。

安平は私たち母子のやり取りを見て嫉妬の表情を浮かべていた。

私は彼に気づかないふりをし翔君の手を引いて車に向かった。

しかし、安平は私についてきた。

「ママ、六年間会いに来てくれなかったのは、弟ができたから、僕のことが嫌いになったの?」と彼は目を潤ませながら言った。

「それはあなたが何度も私に、できるだけ会いに行かないように言ったからじゃない。あなたの美鈴おばさんを不快にさせたくなかったからよ」と返した。

彼は五歳まで私にあまり関心を示さなかった。

離婚の冷静期間中、一番多く話したのはその一か月間だった。

彼は毎朝目を覚ますと、「ママ、会いに来ないで」と私に言っていた。

美鈴が私を見ると不機嫌になるから彼はそれを望んでいたのだ。

安平は困惑した様子で言った。「でも......それを全部僕のせいにはできない。ママはその時、全然僕に近づいてくれなかった。親子運動会にも参加してくれなかった。美鈴おばさんが一番一緒にいてくれたから、彼女のことが好きなのは当然だよね?」

「あなたの言い分は逆よ。あなたが私
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