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第190話

一瞬にして、音は消えた。静まり返っていた。

静けさが恐ろしいほどだった。

監獄の人たちは顔を見合わせて「戦いがこんなに早く終わったのか」と言い合った。

「どうやらあの伊吹嵐は結局は一過性のものだったようだ。まだ監獄長や霸王に会っていないのに、筋肉人にやられたらしいうお」

「調子に乗りすぎたな。幸太を倒しただけでもいいところだったが、あの三人の怪物みたいな強者に挑戦しようなんて」

「自業自得。死んでざまあ見ろ」

しかし、この言葉が出たとたんに、伊吹嵐が二つの死体を引きずりながら、堂々と歩いて出てきたのを見た。

筋肉人と霸王の死体だった。

瞬間、そのば沸騰した熱水のように、急激に爆発した。

「どうして?あの二人は無敵の存在だったよ。さえも軍隊を出動して制圧する必要があった」

「死んだか?」

皆が冷たい息を吸い込み、筋肉人の全身の骨が砕けていることに気が付いた。

霸王の方がさらに悲惨で、四肢はすべて切断され、脳天も三分の一しか残っていなかった。

後ろには、腰を曲げて直立できない痩せた男が付いていて、諂い笑うように言った。

「伊吹さん、もしあなたが私の座席を望むなら、すぐにどけますよ。

「網走監獄では、これからはあなたが来たい時に来て、行きたい時に行って、自分の家のようにして、遠慮しないでください」

「あの人は監獄長か!」

皆は頭に棒を打たれたように、口をぽかんと開けた。

監獄で最強の人物が、今や伊吹嵐の後ろで尻尾を振っていた。

「私、さっきあなたたちが私を悪口っているのを聞いたような気がするけど」

伊吹嵐は笑っているようでいながら、彼らをじっと見つめ、「そんなことあったか」と言った。

ドン!

全ての人の顔色が一斉に変わり、同時に跪いて、誓って言った。

「そんな事はないよ。

「私たちのあなたへの忠誠は、日月と天地が証すことができまます。

「あなたの悪口を言った人がいたら、私たちが最初に前に出て斬ります」

さっきまで正義感に燃えていた人たちが、今ではまるで伊吹嵐の息子のように素直になった。

数百人の看守も、この時にはすでに跪いて、笑顔をいっぱいにして言った。

「伊吹さん、実はあなたがここに来た瞬間から、私たちにはあなたが覇者だと分かりました。監獄長よりも私たちを率いる資格がありますよ。今から、あなたは私たち監獄の主です」
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