第9話

私は澤村勝雄と一緒に役所で離婚届を出した。

彼のだらしなくてやけっぱちな姿を見ながら、私はしっかりと離婚証明書を握りしめた。

澤村勝雄は私を一瞥し、皮肉な笑みを浮かべて言った。「澤村家を離れたら、お前の人生はもう終わりだ」

「雪下凛、もし澤村家がなかったら、雪下家はとっくに破産していただろう。お前が離婚するなんて、本当に馬鹿馬鹿しい」

私は澤村勝雄に冷笑を返した。「雪下家を破産させてくれよ。雪下家がひどくなるほど、私は嬉しく感じるよ。確かに、あなたと一緒にいた日々にはうんざりしていて、今振り返ると気持ちが悪くなる」

以前、私は彼を恐れていた。それは、彼が不満を持って雪下家に影響を及ぼすことが怖いからだった。その影響で、雪下家の人々が私を八つ当たりの対象にして苦しめることになるからだった。

今は澤村家と雪下家との関係が完全に断たれた。もはや澤村勝雄を恐れる必要はなかった。

澤村勝雄の父が言った通り、澤村勝雄は本当にろくでなしだった。

澤村勝雄はいつも家で最年少の子供として不満を言っていたが、彼の兄たちがすべてのリソースを奪っていた。

彼と本田暖子の件を経て、私は彼の本性を見抜いた。

結局、彼は雀百まで踊りを忘れないような人だった。

言い終わると、私は澤村勝雄との口論の機会を与えず、振り向いて人混みに消えた。

元々何も持っていなかった私は、今は自由を手に入れた。

離婚後、私は新しい町に移り、電話番号を変え、嫌いな人たちをすべてブロックした。

大人しい女になるために、大学二年生の私は澤村勝雄と結婚した。雪下家の未来のために、父は私を退学させて澤村夫人にならせようとし、「私のためだ」と美辞麗句を並べていた。

自由を取り戻した今、私は途中でやめた勉強を続けたくなった。良い生活を送りたいと思うなら、やはり自分に実力が必要だと感じたから。

母の命日の日、私は彼女のお気に入りのケーキを持って海辺に向かった。

父は約束を守る人間だった。私がこれほどまでに事をややこしくしたのだから、澤村家は間違いなく彼に責任を押し付けてくるだろう。雪下家は今、塗炭の苦しみの中にあるに違いなかった。父は怒りを発散する場所がなく、私を見つけられなければ、きっと母の遺骨を撒いてしまうだろう。

まあ、それでも良かった。これからは、母を思い出したときに、気軽に海で彼女を偲ぶこ