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Home / All / 私が手足を切り落とされている時、夫は幼なじみの足を揉んでいた / 第8話

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第8話

Author: 長歌夜翔
last update Last Updated: 2024-12-24 10:45:54
藤本雅紀は泣きながら笑い、その絵を抱きしめていた。それはまるで彼にとって貴重な宝物を見つけたかのようだった。

突然、何か光るものが彼の視線を引きつけた。

彼は転がるようにして本棚のそばに駆け寄り、底にあったUSBメモリを拾い上げた。

それは、私が藤本雅紀と出会ってから作った恋愛ビデオだった。

動画の冒頭は、私たちが初めて会った時のシーンだった。

5年前の私はベッドの上を転がりながら、布団の中で甘い声で呟いていた。「今日、公園で可愛い男の子を見つけたの！彼のお兄さんが迎えに来た時、花が咲く音が聞こえた気がするの。たぶん……私、一目惚れしちゃった」

4時間の動画には、私たちの全てのデートが記録されていた。

一緒に観た映画、明史と描いた絵、彼が私たちのために用意してくれた小さなプレゼント、それらすべてが動画に収められていた。

しかし、動画が進むにつれて、私の表情はどんどん疲れていった。

最後の方では、動画の中の私はよく無力感に襲われ、泣いていた。

「今日またダンススタジオの外で変態に遭遇しちゃった。先輩たちが助けに来てくれた時、私の唇は真っ青だった。でも雅紀は最近忙しいから、こんなことで彼を煩わせちゃいけない……」

「お義父さんが萩倉が以前明史を虐待していた時の動画を見せてくれた。彼はそれを見て泣いてしまった。私も胸が締めつけられる思いだった。明史とこの家を守るため、私は萩倉詩織が私たちの邪魔をしないよう全力を尽くすつもり」

「明史が今日、家族写真の雅紀を指して『お兄ちゃん』って呼んだの！彼はやっぱり回復してきた！雅紀が残業から戻ったら、真っ先にこの素晴らしい知らせを伝えたい！でも……いつ帰ってくるんだろう？」

「生理が何日も遅れてる。ちょっと心配だけど、ちょっとワクワクもしてる……でも、この旅行が終わるまで雅紀には言わないでおこう。なんだか疲れちゃったし」

藤本雅紀は最初、平静に動画を観ることができていた。

しかし、私の独り言が出てきたあたりで、彼は突然崩れ落ちた。

彼は私たちの絵を抱きしめながら声を上げて泣き出し、床に頭を打ちつけるように土下座を繰り返した。

「千穂、帰ってきてくれ！俺には何もいらない！だから帰ってきてくれ！」

「全部俺のせいだ……君が会社のために俺と結婚したなんて、どうしてそんな馬鹿なことを思ったんだ。どうして萩倉
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    藤本雅紀は地面に倒れたまま数秒間呆然としていたが、次の瞬間怒り狂ったように跳ね起きた。「千穂は一体何をお前たちに渡したんだ？こんな大事にするなんて！」「今度は死んでまで俺を道徳で縛るつもりか？気持ち悪い！」大きな音が響いた。藤本父は藤本雅紀を地面に蹴り倒し、何度も平手打ちを食らわせた。「お前、中に横たわっているのが誰かを見てこい！」藤本雅紀は死体安置所に入ることをひたすら拒み続けた。藤本父と警察が半ば強制的に彼を中へ押し込んだ。冷たい空気が部屋中に漂い、彼は歯を食いしばるのを抑えきれなかった。それでも口ではずっと文句を言っていた。「こんな撮影セットでビビるとでも思ってるのか！」「千穂と明史はリゾート地で遊んでるんだ。何か起こるわけがない」藤本父はついに堪忍袋の緒が切れ、藤本雅紀の顔を押さえつけて遺体安置台に近づけた。傷だらけの私の顔が、藤本雅紀の視界に飛び込んできた。彼は愕然として動けなくなった。私のそばに付き添っていた母は冷たく笑い、藤本雅紀の顎を掴んで彼の顔を別の方向へ向けた。そこには、明史の小さな体がもう一つのベッドに横たわっており、彼がかつて肖像を描いた時の手は跡形もなく消え失せていた。私は明史の目をさらにしっかりと覆った。彼はまだ幼い。家族が殴り合う場面を見せるべきではないし、自分の遺体を目にするなどなおさらだ。藤本雅紀は私たち二人の遺体をじっと凝視していた。数分そうしていたかと思うと、彼は藤本父の手を振りほどき、恐怖に震えながら叫んだ。「千穂、お前、いい加減にしろ！今回の芝居はよくできてたよ。俺、正直ビビった！」「これで終わりにしよう。詩織のことはもう水に流すから」そう言いながら、彼は私の体を揺さぶろうとした。私の母はすでに悲しみのあまり立っているのもやっとの状態だった。だがその様子を見て、彼女は勢いよく駆け寄り、藤本雅紀を地面に突き飛ばして怒鳴った。「離れろ！あたんみたいな畜生が、私の娘に触れる資格なんてない！」藤本雅紀は横の器具にぶつかり、痛みに顔を歪めた。それでも次の瞬間、再び立ち上がり、私の腕を掴もうとした。「こんなのありえない！こいつが千穂のはずがない！」「千穂の腕には蝶のタトゥーがあるはずだ！彼女は……」警察が彼を押さえつけながら白布を

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    藤本父の怒りが抑えきれず溢れ出す中、傍らの萩倉詩織も異変を感じ取り、顔を真っ青にして尋ねた。「千穂姉さん、本当に何かあったんじゃないかな？私も一緒に行って確認した方がいいかも……」藤本雅紀は曖昧に声を濁しながら、無理に平静を装って藤本父に軽口を叩いた。「父さん、千穂と一緒になってふざけないでくれよ。彼女がそんなことになるわけ……」藤本父はもう藤本雅紀と無駄話をする気もなく、一言怒鳴った。「今すぐ警察署に来い！」電話を切った藤本雅紀は、ぼんやりとその場に座り込んだまま、指で机をトントンと叩き続けていた。私は知っている。これが彼の物事を考える時の癖だ。萩倉詩織は藤本雅紀に寄り添いながら抱きついて言った。「行ってみようよ。千穂姉さんが死ぬなんてありえないし、せいぜい芝居中に怪我したくらいだと思うの」「おじさんもおばさんも、千穂姉さんのことがずっと好きだったから、きっと二人の関係を良くしようと思って、彼女の味方をしてるんだよ」萩倉詩織の言葉に少し救われたのか、藤本雅紀は指先で彼女の肩をなぞるように撫でた。「君の言う通りだよ。千穂はいつも年配者の前ではおとなしくて弱々しいふりをするからな。親父たちもボケてるんだろう、だからあいつの肩を持つんだ」「あいつと明史がやった芝居なんて、せいぜい擦り傷くらいで俺を心配させるだけだろ。死ぬわけがないさ」明史はその言葉を聞いても、藤本雅紀に気づいてほしいという期待を捨てきれず、しょんぼりとソファの隅に身を隠した。私が慰めに行こうとすると、彼は先に微笑みを浮かべた。「千穂姉さん、兄ちゃんはあなたのことも、僕のことも好きじゃないよ」「もうこんな兄ちゃんなんて愛したくない！」彼の微笑みに隠された苦しさを見て、私は思わずため息をついた。明史は藤本雅紀より17歳も年下で、ほとんど兄が育てたようなものだった。兄弟仲が良かった頃、彼は何度も会社の仕事を後回しにして、明史の治療や絵描き、遊園地の付き添いをしていた。明史の心の中では、兄は全てだった。だが、萩倉詩織が戻ってきてから、全てが変わってしまった……誘拐された時、萩倉詩織の携帯には藤本雅紀からの親密なメッセージがびっしり詰まっていた。一方、私と明史が彼と最後に話したのは、2か月も前のことだった。誘拐犯たちは彼女を丁寧に扱い、ま

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    明らかに萩倉詩織は藤本雅紀の前で、全てが私の仕組んだ芝居だと暗示しておきながら、ここではわざとらしく装ってこう言う。「千穂姉さんと明史くんが私を連れて行ったのは、決して故意じゃないと思うの。彼らも、仕方なかったんだよ……」「千穂姉さんの旦那さんでしょ？明史くんのお兄さんでもあるんだから、少しくらい気にしてあげたら？」藤本雅紀は哀れむような顔で言った。「詩織、君って本当に優しいな」そう言ったかと思うと、彼の表情は再び苛立ちに染まる。「千穂って女は本当に芝居がかったやつだ！君があんなに足を怪我してたのに、俺に電話してきて謝れだとさ」「どう考えても、あいつにはお仕置きが必要だ！」萩倉詩織は殊勝な顔で言った。「千穂姉さんはあなたを愛しすぎてるだけだと思う。私は彼女や明史くんのことを責めたりしないよ」「君は、あいつに甘すぎるんだよ！」「あいつは君が優しいのをいいことに、明史と手を組んで君をいじめるんだ！それが一番許せないんだよ！」私が弁解しようとしたその時、自分がただの魂でしかないことに気づき、手が虚しく下に垂れた。私は萩倉詩織が嫌いだった。以前、私たちのダンススタジオの外に変質者が現れた時も、藤本雅紀に心配をかけたくなくて、仲間がいると言い張った。一方、萩倉詩織は夜中に彼に電話をかけ、スタジオに一人でいて怖いと言っていた。明史がカウンセリングに行く時は保護者の付き添いが必要だったが、萩倉詩織はいつも病院の外で「偶然」彼に出くわし、二人で何時間も話し込んでしまい、診察時間を逃していた。最初は萩倉詩織にきちんと話そうと思ったけど、彼女は傲慢に笑いながらこう言った。「あんたはくそおばさん、明史はただのバカ。それがどうして雅紀さんの中で私より上に来ると思うの？」「私に付き添わせるどころか、私のためならあんたたちを殺すことだってできるのよ」そう言いながら、私たち三人で買った飾りの小さなクマを、彼女はハサミで粉々に切り刻んだ。明史は怒りに任せて萩倉詩織を突き飛ばしたが、その瞬間を藤本雅紀に見られてしまった。彼は怒り狂って私を平手打ちしながら怒鳴った。「お前の嫉妬深さも大概だが、明史をそそのかして手を出させるなんて、どこまで卑劣なんだ！」「俺と詩織はとっくに終わったんだ。いい加減に絡むのはやめろ！」私が何かを言お

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    萩倉詩織が私の名前を口にした瞬間、藤本雅紀の顔から笑みが消えた。「なんであいつの話をするんだ！金が足りないなら直接言えばいいのに、役者を雇って誘拐ごっこで金をせびるなんて。君まで巻き込んで苦労させやがって！」「この首席は、あいつが君に借りてるものだ！」「しばらく俺の家で暮らせ。あいつと明史に頭を下げさせて、君の世話をさせる！」そう言うと、彼は萩倉詩織を腕の中に引き寄せて優しく言った。「安心しろ、君が受けた屈辱は無駄にしない。あいつら二人とは必ず清算してやる！」藤本雅紀は萩倉詩織を連れて家に戻り、私たちに文句を言おうとしていた。だが、家には誰もいなかった。彼は苛立ちを隠せずに吐き捨てた。「やるだけやって逃げるとか、しかも帰りもしないなんて！」突然電話の音が鳴り響き、藤本雅紀の怒りを中断させた。「雅紀、ニュースでリゾート地の殺人事件を見たんだけど、あの服、千穂が出かけるときに着てたのと同じじゃないかしら……」「あの子、もう三日も連絡してこないのよ。もしかして……何かあったんじゃないの？」母の声は張り詰めた弦のようで、恐る恐る藤本雅紀に問いかけた。もともと短気な彼は、母の質問にさらに苛立ち、大声で怒鳴った。「あんな性悪女が何かあるわけないだろ！誰が死んでもあいつは死なないさ！」そう言いながら、彼は何かを思いついたように目を細めて尋ねた。「まさか、千穂のために偵察に来たんじゃないだろうな？」母は一瞬言葉を失い、弁解しようとしたが、無情にもブラックリストに放り込まれた。藤本雅紀は苛立ちながら家の中を何度も行ったり来たりしていた。萩倉詩織はその後ろをついて歩き、彼の袖をそっとつかんで揺らしながら言った。「きっと、私だけ連れて行ったから、千穂姉さんと明史くんが怒っちゃって、お母さんに聞かせたんだと思うの。私……やっぱりここにはいない方がいいかもね」彼女の泣きそうな顔に藤本雅紀は胸を痛め、家中を駆け回って洗面道具を用意した。さらに結婚写真を取り外し、萩倉詩織を主寝室に住まわせた。突然、藤本雅紀の顔に赤みが差した。「間違ってなければ、今は君の生理時期だよな。お湯は下に用意しておいたし、いつもの生理用品も買っておいた。絶対に冷たい水に触るなよ。何かあったらすぐ呼べ……」藤本雅紀にこんなに優しくて気配りのある

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