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第 0253 話

彼女が動くと、薄野荊州の腕は鉄のように彼女を抱きしめていて、放そうとする気配は全くなかった。

「早く鼻をつまんで止血しなさい。このままじゃ失血で倒れるかもしれないわよ」

彼女の声には少し焦りが混じっていたが、それは心配しているわけではなく、薄野荊州の鼻血が恐ろしいほど多かったからだった。彼はまるで二つの小川のように血が流れ続けていた。このままでは本当に失血で倒れるかもしれない。

薄野荊州は彼女を下ろし、「君がやったんだから、君が止血すべきだろ?」

瀬川秋辞は呆れてしまった。この状況でそんなことを言うなんて。しかし彼は自虐的な心理でもあるのか、彼女をじっと見つめて、止血しようとしなかった。

彼女
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