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第 0051 話

彼女に返ってきたのは、荊州の嘲笑まじりの声だった。「でも、俺が見たのは唯寧が一番重傷を負っていることだ。人を傷つけたら、それ相応の罰を受けるべきだ。そんな簡単な理屈をまだ教える必要があるのか?」

「……、それは互いに殴り合っただけだ。悦織も怪我をしている」彼女は慎重に言葉を選びながら言った。「あなたはそんな不合理なことをしてはいけない」

荊州は目を細めて秋辞を見つめ、この時初めて彼女も怪我をしていることに気づいた。首には掻き傷があり、既に痂ができていた。それほど深刻ではないが、白い肌の彼女には目立つ傷だった。

それでもなお、荊州は表情を変えず、「俺が理不尽だとして、どうするつもりだ?」

秋辞
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