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第5話

著者: 紅葉鯛
last update 最終更新日: 2024-11-13 10:37:32
私は防犯カメラの映像をネットに投稿し、世間の反応には一切関与しないことにした。

たちまち、ネット上の評価は一変した。

【えっ、感動的な恋愛話だと思ってたのに、ただの不倫だったの?】

【幻滅した。佐藤教授がこんな人だったなんて......】

【白石先生、普段は上品な感じなのに、プライベートではこんなに色っぽいなんて......うーん、なんとも言えないね......】

白石綾子は我慢できなくなり、私を訪ねてきた。ネット上の誤解を解いてほしいと頼んだ。

「美紀が『佐藤恒夫との関係はとっくに終わっていた』と言ってくれるだけでいいんです」

彼女はそう懇願した。

白石綾子は完璧なメイクアップで、優美な眉には品があった。体にフィットした着物が細い腰を強調し、手首の翡翠のブレスレットも高価なものだった。

一方の私は、ゆったりしたTシャツに普通のスニーカー姿。

「何が欲しいですか?これで十分ですか?」

白石綾子はブレスレットを外し、私の手に押しつけようとした。

「私たちは品のある人間です。こんな醜い事態は避けたいんです。

失礼な頼み事だとは分かっていますが、どうか助けてください。どうせ美紀はもう彼のことを愛していないでしょう」

私は彼女の手を避け、見上げた。

「ご存知ないんですか?財産分与で、佐藤恒夫の資産の三分の二は私のものになるんですよ」

私が築き上げた不動産と店舗は、確かに家族で共有していたけれど、私は婚前契約をしっかり結んでいた。

これは佐藤恒夫も知らなかったことで、弁護士から説明を受けた時、彼は呆然としていた。

「佐藤教授、不貞行為があった場合、裁判となれば更に不利な判決になる可能性があります」

彼は仕方なく離婚届にサインした。

白石綾子は私の質素な格好を見て、家を追い出された身だと思い込んでいた。

実は、セレブ風の装いにはもう飽き飽きしていた。

長年「佐藤夫人」を演じすぎて、「田中美紀」が好きだった気楽な姿を忘れかけていた。

「だから、白石さんのブレスレットも、補償も要りません」

私は笑顔で白石綾子を見つめ、ブレスレットを返した。

「私が望むのは、君たちが社会的信用を失い、世間から非難されることです」

どうぞお幸せに。望み通りの生活を送ってください。

実は、白石綾子の言葉には一つ間違いがあった。

私は今でも佐藤恒夫を
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