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第6話

著者: 紅葉鯛
last update 最終更新日: 2024-11-13 10:37:32
白石綾子は家族の世話をしていたつもりだったが、インゲンを生煮えのまま出してしまい、佐藤恒夫と息子は激しい食中毒で入院することになった。

息子が孫娘を叱りつけた後、嫁は納得できず、孫娘を連れて実家に避難し、この危機を逃れた。

「お母さん、この家はお母さんがいないと駄目なの。戻ってきて」

「おばあちゃん、会いたいよぉ」

嫁と孫娘からの電話に、私の心は少し揺らいだが、必死でその気持ちを押し殺した。

「この世界に、誰かがいなくなったからって、地球の回転が止まるわけじゃないわ。

美咲はいい子ね。でも家族のことばかり考えすぎて、それが本当に価値のあることなのか、時には考えてみて」

私のバカな息子は、こんなにいい嫁を持ちながら、その価値が分かっていない。

こんなに素晴らしい女性が、彼の妻になるなんてもったいない。

嫁は黙っていたが、私には分かっていた。

彼女はいつも自分の考えを持っていて、私以上に有能な人だということを。

「何か困ったことがあったら、いつでもお母さんを頼っていいのよ」

私が優しく言うと、向こうからすすり泣く声が聞こえてきた。

思いがけないことに、この家で私のことを一番惜しんでくれたのは、この嫁だった。

……

佐藤恒夫が再び私を訪ねてきた時、私は市内に新しい支店を開いていた。

相変わらず家庭料理の店で、経済的に苦しい学生たちがアルバイトをしていた。

私は彼らに食事を提供し、給料もきちんと払っていた。彼らは皆にこやかに私のことを「美紀おばさん」と呼んでいた。

店は繁盛していて、もうすぐ60歳になる私は、毎日てんてこ舞いの忙しさだった。

佐藤恒夫が店の前をうろついていた時、私はちょうど前のテーブルの片付けを終えたところだった。

「美紀、家に帰ろう。このまま......辛い思いをしなくても......」

私は思い出さずにはいられなかった。かつて彼が、私を一生養うと約束した日のことを。

でも...

「佐藤恒夫、あなたはまだ分かっていないのね。

私が人生で一番辛かったことは、全部あなたのせいよ」

私は肉体労働の辛さなど、一度も恐れたことはなかった。

貧しい田舎から逃げ出して、自分の世界を築き上げた。それは私の誇りで、どうして辛いと感じることがあろう。

でも佐藤恒夫は私の愛情を踏みにじり、嘘で私の目を曇らせた。

その裏切りの
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