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第0024話

瑠璃は首を横に振り、苦笑を浮かべた。結局、話すか話さないかなんて、何の意味もないのだろう。

隼人は、彼女の命など気にしていない。それどころか、彼女が死ぬことが彼にとっては好都合かもしれない。

しかし、瑠璃はお腹の中の赤ちゃんのために、懸命に生き続けていた。

医者から言われた通り、彼女の体は赤ちゃんと矛盾している状態だった。

赤ちゃんが成長すればするほど、瑠璃の病状は悪化していく。

胎児が成長する位置が、体内で急激に悪化する恐れのある腫瘍を圧迫していたからだ。

瑠璃は何度もネットで履歴書を送り続けたが、全く返事はなかった。だが、ある日、小さな会社からデザインの依頼が舞い込んできた。

その依頼は結婚指輪のデザインで、提示された報酬も悪くなかった。

瑠璃はその仕事を引き受け、一日中部屋にこもってデザインに集中し、ようやく少し休憩を取ろうとキッチンへ降りていった。

妊娠3ヶ月を過ぎていたが、冬の寒さの中、厚手のセーターを着ているせいで、妊娠していることは誰にも気づかれなかった。

この間、隼人からは何の連絡もなかったが、瑠璃はそれにも慣れていた。

玄関で足音が響き、瑠璃は隼人が帰ってきたことに気づいた。

黒いレザージャケットを身にまとい、禁欲的でありながらどこか魅力的な雰囲気を纏った隼人。

彼の手には、2つのカートン袋がぶら下がっていた。その袋に描かれたキャラクターを見て、瑠璃はそれが赤ちゃんの服だと気づいた。

驚きとともに、一瞬の期待が胸に広がったが、すぐに隼人の冷たい言葉がその期待を打ち砕いた。

「これは蛍のためのものだ」

彼の口調は少し優しかったが、その優しさは蛍に向けられていた。

瑠璃の心に浮かんだ期待は、一瞬で粉々になった。

「お前、まさか自分のためだとでも思ったのか?」隼人は嘲笑を浮かべ、「俺が、お前との間に子供なんて作るわけないだろう」と冷たく言った。

その言葉は、瑠璃の心を完全に打ち砕いた。

彼女は胸の痛みに耐えながら隼人を見つめ、「隼人、あなたって本当に酷い……」

「こんな卑劣で下品な女に、優しさを期待するなんて無駄だろう。お前にその価値があると思っているのか?」隼人は冷たく笑い、彼女の血色の悪い顔を一瞥すると、軽やかに階段を上がっていった。

隼人の背中を見つめながら、瑠璃は乾いた唇を微かに動かし、かすれた声で呟い
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