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第12話

私は、見てて、特に驚きはしなかった。

これまでずっと、彼女は玲奈をすごく大切にしてきたんだよね。

でも夜になると、お母さんは自分を私の部屋に閉じ込めた。

そして、私の遺影を持って、指先を震わせながら、そっとなでるんだ。

「ごめんね。

ごめん、和花。

この何年か、あなたには本当にいろいろ我慢させちゃったね、私たちが悪かった。

私があなたに対して悪かったんだ。

待ってて、私が玲奈と一緒にお詫びするから」

母さんは引き出しを開けて、薬瓶を取り出した。

最近、悪夢で目を覚ますことが多くて、病院で睡眠薬をもらってきてたんだ。

私はお母さんが薬の瓶を全部砕いて、水に溶かすのを見てた。

翌日、母さんは玲奈の好きな料理をたくさん作って、どれにも睡眠薬を入れてた。

食べ終わった後、お母さんは眠そうにふらふらしながら、自分の部屋に戻った。

その頃、お母さんは......

玲奈の部屋のドアを開けて、玲奈の携帯を取り出した。

そして、大きなドアを再び鍵をかけて、窓を全部閉めた。

ガスの元栓を開けて、火を一番強くして、それから水で消したんだ。

その後、お母さんは私の遺影を抱えてソファに座り、静かに死を待ってた。

私はその前に浮かんで、お母さんを見てた。

どんどん息が荒くなって、瞳孔が広がって、唇が妖しいさくらんぼのような赤になっていった。

私は言った。「お母さん、なんでそんなことするの?

死んで償えば、許してもらえると思ってるの?」

いや、絶対に許せない。

絶対に許せないよ!

私は一生、お母さんを許さない。

お母さんの命が徐々に消えていった。

私の中にあったかすかな血のつながりも薄れていった。

私はドアの外に浮かび、ドアの前に立った瞬間、その絆は完全に消えてなくなった。

お母さんの声が聞こえた。「和花!」

優しく、狂おしいほど嬉しそうに。

「和花、あなたなの?

お願い、帰ってきて、和花、振り返ってみて、私を見て......」

私は振り返らなかった。

生きてるときに最後に会えなかったんだから、

死んだ後も会うつもりはなかった。

私の魂は、だんだん細かく砕けて、風に溶けていった。

無数の光が夜空を横切って、山と海の間に散らばった。

流れ星に願い事をすると叶うって言うけど、

じゃあ来世では、愛してくれるお父さんとお母さん
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