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第136話

「いいわね」

紗希はまだオークションに行ったことがないので、直樹と一緒に行くことを承諾した。

直樹は紗希が承諾したのを見て、LINEの家族グループにメッセージを送った。「平野兄さん、紗希がオークションに一緒に行くって言ったから、資金の援助を頼む」

そのメッセージを送信した後、LINEの家族グループに5人からの送金があった。全て紗希のためのチャリティーオークションの資金だった。

直樹は嬉しそうにその金を受け取った。「兄貴たち、支援をありがとう」

弁護士の悠真は一言書き込んだ。「活動資金の私的流用は禁止だよ。さもなくば、弁護士から書状が届くのを待とう」

直樹は泣き顔のスタンプを送った。彼はこんな人間なのか?

彼は誰かを陥れるにしても、紗希を陥れすことはできなかった。

夜、紗希は直樹と一緒にチャリティーオークション会場に向かった。

紗希は外に停まっていた高級車を見て、やはりこういうイベントには、お金持ちしか参加できないんだと実感した。

「紗希、気に入ったものがあったら買っていいよ」

紗希は目を瞬かせた。「直樹兄さん、最優主演男優賞のために買いに来たんじゃないの?」

「どうせ使うお金は全部最優主演男優賞の金だし、彼はこんな小銭なんて気にしないよ」

「それはちょっと......」

紗希は他人のお金を勝手に使うのは少し良くないと思った。少なくとも自分にはそんなことはできなかった。

二人は話しながら会場に入った。直樹は番号札を紗希に渡した。「トイレに行ってくるから、紗希はチケットの番号通りに席を探してね」

紗希は頷いて、番号通りに席を探していた。すると、とても強い香水の匂いがした。彼女が眉をひそめて顔を上げると、玲奈とその隣にいた詩織が目に入った。

彼女は鼻を覆っていた手を下ろした。運命は本当に意地悪だ。

「紗希、どうしてここにいるの?」

玲奈は信じられないという顔で近づいてきて、紗希を上から下まで見た。「ここがどういう場所か分かってる?」

「分かってるわ。ここはチャリティーオークションだよ」

玲奈はわざと自分のブランドバッグを見せびらかした。「紗希、ここがどんな場所か知ってるくせに、まだここに来る勇気があるのね!ここでの商品はどれも何千万円もの価値がある!あなたなんて10年以上働いてもそんなお金稼げないでしょ。誰にそんな勇気をもらったの
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