第3話

　山口瑞希は考えもせずに言った。「何の罪だ？お前が莉乃との関係を誤解して、故意に事故を起こしたんだろ。彼女はもうお前のことを気にしていないのに、なんでまだ警察に行こうとしているんだ？」

　鈴木莉乃は彼の後ろに立って、泣きじゃくった。「先輩、あなたが私を信じて守ってくれて本当にありがとう」

　彼女は私を見て、悲しげな表情を浮かべた。「松井さん、私、あなたに脳震盪を起こされて、あなたとは争うつもりもなかったのに、なんで私を追い詰めるの？私が若くて優秀で美しいから、嫉妬して私をいつも困らせるの？」

　鈴木莉乃は本当にかわいそうに泣いていた。

　山口瑞希は彼女の涙を拭いて、警察に目を向けた。「君たちはこの女に利用されている。彼女の口から出ることは嘘ばかりで、たとえ彼女が私の妻でも、彼女をかばうつもりはない——彼女は大型トラックを見て、故意にぶつかり、莉乃を脳震盪させたんだ。偽の通報をして人を傷つけた、今すぐ彼女を逮捕してください！」

　彼らは口を揃えて私を非難し、以前と同じように私を有罪にしようとしている。

　しかし、今回、警察はすでに調べた。

　彼らの言葉だけで私に濡れ衣を着せることはできない。

　警察が前に出て、鈴木莉乃の犯罪証拠を握っていると言った。彼女を警察署に連れて行くことになった。

　しかし、彼女は泣いて拒否した。「先輩、助けて！車にはドライブレコーダーがなく、道にも監視カメラがない。その日は大雨だったから、他の車のドライブレコーダーもはっきり撮れていなかった…私が誰かを傷つけた証拠なんてどこにあるの？この警察は松井に金を受け取って、私を陥れようとしているの！」

　山口瑞希はまだ彼女を守ろうとしている。

　私は冷笑した。「あなたは警察に公務妨害で逮捕されたいのですか？」

　山口瑞希は一瞬ためらったが、後ろに下がった。

　警察が去った後、彼は私を一瞥し、私に構うこともせず、すぐに弁護士や人脈を探し始めた。

　警察はすでに彼女を逮捕していた。

　しかし、山口瑞希は私が警察を買収したとさえ思っていて、鈴木莉乃が私を傷つけたことを疑いもせず、彼女の「冤罪」を「晴らそう」として、彼女を無傷で連れ出そうとしている。

　子供の頃は私を守ってくれた彼が、今は別の女性のために固く守っている。

　私は以前は悲しかったが、一度死んでしまった今は、怒りと憎しみしか残っていなかった。

　私は離婚協議書を取り出し、彼の前に投げた。「離婚しましょう、山口瑞希」

　今回九死に一生を得た私は、このような人に人生を浪費されたくなかった。

　実験室には多くの人が私たちを見ていた。山口瑞希は恥ずかしがり、私を階段のところに引っ張った。

　そして——

　ザー！

　山口瑞希は離婚協議書を直接引き裂き、紙屑をまき散らして言った。「奏、今はお前と遊ぶ暇も心情もない！消えろ！」

　彼のその自己満足な態度を見ると、私は歯がゆい思いをした。

　私は怒りと悔しさを感じながら言った。「遊ぶ？私は事故で生死の境をさまよい、二ヶ月入院していた。あなたは一度も来てくれなかったし、電話さえかけてくれなかった、ただあの女と一緒にいるだけ......山口瑞希、あなたのような非人情な人が、もう人間ではない」

　山口瑞希は理不尽に言った。「それはお前の自業自得だ、莉乃を傷つけようとしたからだ」

　私が難しく生き延びても、彼は私に対して少しの優しさも示さなかった。

　彼は永遠に鈴木莉乃を無分別にかばい続ける！

　私の中の憎しみと怒りは、私を引き裂きそうなほど高まって、体中が震えた。

　鈴木莉乃の真の姿を暴露した後、山口瑞希がどんな反応を示すのか、私は見たい！

　私は震える手で携帯を取り出し、クラウド監視ビデオを開き、彼の前に突き出した。

　「そう、あの道には監視カメラはなく、私の車のドライブレコーダーも誰かに密かに外された。でも、私の車にはピンホールカメラが装着されていた。その時の状況をしっかりと見てみろ、あなたの目を見開いて！」