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第167話

とわこが常盤奏と4年以上の婚姻関係を保てていたのは、彼女の並外れた才能があったからに違いない。

また、小林はるかは海外でとわこの名前を耳にしたことがある。

彼女も羽鳥恵子教授の学生であり、いくつか優れた論文を発表していた。

しかし、卒業後のキャリアは不明だった。

彼女はどこの大病院にも入らず、医療の仕事にも就かなかった。

理論知識がどれだけ優れていても、やはり実践経験が必要だ。

でなければ、どうして常盤奏は彼女に結菜の治療を頼まなかったのか。

夕方。

館山エリア。

井上美香は二人の子供を見て、不思議に思った。「どうしてご飯を食べないの?」

レラは頬をふくらませて、「ママはいつ帰ってくるの?」と聞いた。

井上美香は、「彼女が仕事を終えたら帰ってくるわ。いつ終わるかは分からない」

レラはさらに問い詰めた。「彼女は結菜を助けているの?」

井上美香はうなずいた。「そうよ。心配しなくていい、結菜は大丈夫」

その時、蓮は不機嫌そうに言った。「結菜は悪い奴だ!」

「結菜を連れてきたのはあなただよ?どうして急にそんなことを言うの?」井上美香は彼の頭を撫でながら尋ねた。

「彼女は常盤奏の仲間だ!」

井上美香は彼がそんなことを知っているとは思わなかった。

「蓮、これは大人の問題だから、あなたは心配しなくていい。結菜はあなたとレラより知能が低いし、彼女に何ができるっていうの?たとえ間違いがあったとしても、それは常盤奏のせいよ」井上美香には結菜を恨む気持ちはなかった。結菜は3歳の女の子と変わりないからだ。

蓮は自己嫌悪に陥っていた。

もし彼がママと常盤奏の関係をもっと早く知っていれば、常盤奏と結菜の関係をもっと早く知っていれば、絶対に結菜を家に連れてくることはなかっただろう!

ママはきっととても苦しい。

ママが帰ってきたら、必ず謝ろう!

夜の八時、常盤奏は電話を受けた。

「常盤さん、ハッカーが見つかりました!残された情報を基にすると、そのハッカーはあなたの甥、常盤弥です!」電話の向こうの声は興奮していた。

「???」常盤奏は驚いた。

常盤弥、あの役立たずが、いつハッカーになったんだ?

「常盤さん、技術者に三度確認した結果、どれも同じでした!しかも、ハッカーのIPアドレスは今、常盤家の旧宅から発信されています!」

常盤奏は拳を握りしめ、
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