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第6話

著者: ベアリー
last update 最終更新日: 2024-11-21 14:00:04
35人から20人に絞られる今回のステージは、先生とのコラボステージとなった。

選曲順は前回の人気投票の結果によって決まる。

目の前には次の公演で歌う候補曲が並んでいる。

一つ一つ見ていくと、以前練習したことのあるバラードが目に留まった。

カメラの前で十分な選択の迷いを演出してから、ゆっくりと前に進む。

札を手に取ろうとした瞬間、体の中から突然、強い抵抗を感じた。

佐々木春菜が来たのだ。

息を止めて、心の中で語りかけた。

「分かってる。あなたね、佐々木春菜。

復讐を手伝うわ。だから、どうして死んだのか教えて。

佐々木春菜、答えて!」

何度問いかけても、返事はない。

ただ、宙に浮かんだままの腕の痺れだけが、春菜が私の選択を認めていないことを示していた。

私は意を決して、歯を食いしばり、体の中の幽霊、春菜と主導権を争った。

額には汗が滲み、上げたままの腕が震え始める。

「教えて、あなたはどうやって死んだの!」

かすれた声で叫び、最後の力を振り絞った。

その瞬間、めまいがして、視界がぼやけ始めた......

目を開けると、周りには大勢の人が取り囲んでいた。

男女入り混じった群衆が、みな恐ろしい形相で私を指差し、口々に何かを言っている。

言葉は聞き取れないのに、一言一言が刃物のように心を刺す。

耐えきれない恥ずかしさに襲われ、頭を抱えて叫んだ。

その声が頭の中に入り込み、とめどなく響き渡る。

声を追い出そうと、地面に頭を打ち付けた。何度も、何度も......

地面は血で染まり、やっと声は消え、世界は静かになった。

目の前に血に染まったロープと、生まれたばかりの泣く赤ちゃんが浮かんだ。

赤ちゃんを抱き上げようとした時、雷のような声が頭の中で轟いた。

今度は躊躇わず、首をロープに通した。

呼吸が苦しくなり、体が痙攣し始める......

「葵ちゃん!葵ちゃん!

目を覚まして!山田葵!」

激しく揺さぶられ、私は我に返った。

夢の中の窒息感があまりにもリアルで、思わず大きく息を吸い込んだ。

田中美咲が教えてくれたところによると、選曲中に突然気を失ったらしい。

気絶する前に、私はダンス曲を選び、藤井涼太とのコラボが決まっていたという。

「制作部には休みを申請しておいたから。私はインタビューの準備があるから、先に行くね」
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    彼女の態度が急に変わって、私には理解できなかった。「どうかしたの?」「べ、別に......早く入った方がいいよ......」田中美咲は震える声で答え、私の目を見ようとしない。昨夜まで親友のように一緒のベッドで内緒話をしていたのに、なぜこんなに変わってしまったのだろう。私は何か悪いことをしただろうか。焦った私は、彼女の前に立ちはだかって説明した。「ごめんね、美咲。昨日は本当に疲れてて、横になったらすぐ寝ちゃったの。わざと話を聞かなかったわけじゃないんだ」「......本当に寝てたの?」「うん、目が覚めたら8時半になってたよ。起こしてくれなかったじゃん」それを聞いた途端、それまで落ち着いていた田中美咲の様子が一変した。「違う、違う!葵じゃない、本当に葵じゃないの!」田中美咲は必死に首を振りながら叫ぶ。不安が込み上げてきた。「何を言ってるの?」「あ、なんでもない!」そう言い残すと、田中美咲は私から目を逸らしたまま、慌てるように練習室に駆け込んでいった。午前中のレッスンでは、センターを務める彼女が何度も振付けを間違えるほど、集中できていない様子だった。昼食時、一緒に食堂に行こうと思ったが、レッスンが終わるや否や彼女は真っ先に部屋を出て行った。田中美咲も私を避け始めたのだ。佐藤綾里と同じように、私のことを怖がっている。この不可解な状況の謎が解けないまま、午後になって田中美咲は制作チームに申し出た。センターを降りて、私にポジションを譲るというのだ。メンターの藤井涼太は人気俳優らしい率直さで、その場で怒りを露わにした。「他のチームはセンターの座を争ってるってのに、お前たちは次々と降りる?番組を舐めてるのか。やる気がないなら、さっさと帰れ!」佐藤綾里は怯えた目で小さな声を絞り出した。「メンター......センターは山田さんしかできません......私たちじゃ、本当に無理なんです......」田中美咲を含む三人は目配せを交わし、全員がその提案に同意した。藤井涼太の私を見る目が変わった。きっと、私が二人を脅してセンターを譲らせたと思っているのだろう。そうでなければ、せっかくのチャンスを手放すはずがない。私だってセンターをやりたくないわけじゃない。でも、もっ

  • センターを譲る少女たち   第1話

    最近、佐藤綾里の様子がおかしい。私を見る目が怯えているような感じがする。ダンスの練習中は仕方なく隣に立つものの、休憩時間になると私から逃げるように離れていく。レッスン中、メンターが振付けを説明している時のことだった。隣にいた佐藤綾里が足元をぼんやり見つめているのに気づき、思わず手を振ってみた。すると彼女は我に返り、私の顔を見た途端、頭を抱えて悲鳴を上げた。周りの研修生たちが慌てて駆け寄り、メンターも心配そうな顔をしている。私はただその場に立ち尽くすしかなかった。「どうしたの?」「葵、綾里ちゃんに何かしたの?こんなに怯えさせて!」佐藤綾里は何か強いショックを受けたかのように、おびえた表情を浮かべている。田中美咲が目で私に問いかけてきたが、私は両手を広げて首を振るしかなかった。何もしていないのに......メンターは佐藤綾里の様子を見て、寮で休むように言った。その後のレッスンに、私は全く集中できなかった。どこで彼女を怒らせてしまったのか、ずっと考えていたけれど、答えは見つからなかった。同じ事務所の田中美咲に聞いてみた。「私、何か悪いことしちゃった?それとも厳しすぎたかな?」「そんなことないよ。リーダーとして一生懸命頑張ってるじゃん」田中美咲は汗を拭いながら答えてくれた。それでも私が気にしている様子を見て、頬をつついてきた。「気になることがあったら、ちゃんと話し合えばいいじゃん!もうすぐ35人に絞られるんだから、こんなことで悩んでる場合じゃないよ」私は頷いて、佐藤綾里との誤解を解こうと決心した。お詫びの品として、新品の香水を持って練習室へ向かった。着いてみると、彼女は鈴木茜とダンスの練習をしていた。午後の休憩で少し落ち着いたように見えたが、私が近づくと顔が真っ青になり、恐怖を隠せない様子だった。「綾里ちゃん、何か誤解があるんじゃない?もし私が何かしたのなら、謝りたいんだけど」「い、いいえ!謝らないでください!」佐藤綾里は私を避けるように、必死で後ずさりしながら言った。「センターは私がやめます。全部譲りますから、お願いです、近づかないでください!」「でも、メンターも綾里の表現力を褒めてたのに、どうして?」「山田さんの方が......その位置に相応し

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