第 0198 話

海咲はそんなことを考えなかった。

たとえ彼女が淡路美音に対して冷淡な態度を取ったことがあったとしても、それはただ自分を守るためだった。

「私が好きな人がいるって知ってるでしょう？」海咲は言った。

この一言で、州平との道を完全に閉ざした。

彼女には好きな人がいると。

しかし、州平はその男性を見たことがなかった。

これは彼らの間にある謎のようなものだった。

州平の顔は冷たくなったが、言わざるを得なかった。「その男のことは持ち出さないでくれ。契約が終わったら、君を解放する。この離婚協議書は君が渡さなくても、俺が届ける」

結婚契約が終了したら、株式を受け取ることができる。

海咲もそのことを知っていた。