第442話

しかし、いくら待っても中からは何の反応もなかった。

「ピンポーン、ピンポーン」

西也はインターホンをもう一度数回押しながら声をかけた。「若子、いるのか？」

それでも、中からは返事がなかった。

その頃、部屋の中では若子が必死にもがいていた。「修、放して！お願いだから放して！」若子は西也の声が聞こえてきた瞬間、さらに慌てて修を押しのけようとした。だが、修は西也が来たと知ると、目が怒りで燃え上がるようだった。

「何を怖がってるんだ？あいつにこの姿を見られるのが嫌か？ああ、そうだな、俺は忘れてたよ。お前、今はあいつの妻なんだよな！」

修の目には、若子が見たことのない邪悪な光が宿っていた。

「なら分かっただろう、早く放して！」若子は必死に訴えた。「修、お願いだからやめて！」

「お願いだって？」修は冷たい笑みを浮かべた。「じゃあ俺もお願いしよう。若子、俺と復縁してくれないか？」

「どうしてそんなに私を追い詰めるの？」若子の声は震えていた。

「俺が追い詰めてる？」修は歯を食いしばりながら怒りを込めて言った。「全部あいつのせいだ！あいつがいなければ、俺たちはこんなふうにならなかった！全部、あいつが悪いんだ！」修の声は狂気に満ちていて、もはや理性を失っていた。

「なあ、もしあいつが俺たちの今の姿を見たら、面白いと思わないか？」修はさらに続けた。「お前が俺と結婚してた時はあいつと絡んでて、今度はあいつと結婚したら俺と絡んでる。そうだよ、もう誰も幸せになんてさせない！」

若子が何かを言う間も与えず、修は彼女の唇を再び乱暴に塞いだ。

「若子！」 その頃、外では西也が焦りの色を滲ませていた。「若子、いるならドアを開けてくれ！」

「若子！」

彼は拳を握りしめ、ドアを何度も叩いた。

中から微かに奇妙な音が聞こえた気がして、西也の胸に不安が募っていく。

「何かおかしい......」そう感じた彼は、即座に若子から聞いていた暗証番号を入力した。

ドアが開くと、彼は中から聞こえてくるかすかなすすり泣きのような音に耳を澄ませた。

「若子！」

彼は一気に部屋の中へと駆け込んだ。「ドン！」という激しい音と共に、西也はドアを蹴り開けた。目に飛び込んできたのは、ベッドの上で衣服が乱れた男女の姿だった。

修は若子を押さえつけるようにして上に乗っていた。

その光景に、西也の