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第7話

雲翔は一歩ずつ近づいてきた。私は恐怖に震えながら彼を見つめ、まるで小さな子猫のように体を震わせていた。

彼は私を強く抱きしめた。「何があったんだ?教えてくれ」

私は悲鳴を上げて気を失った。

目覚めたとき、部屋は散らかっていて、和也が私のベッドの横に座っていた。彼の体には少し傷があった。

「ちょっと離れた隙にこんな大事件になるなんてな。夏希、昔の大胆さはどうした?」

私は苦々しく笑った。「和也、私も昔の自分を羨ましいと思うよ。大胆で何も恐れていなかったけど、人は変わるよね。死ぬのが怖いし、ただの普通の人間だもの」

彼は私を優しく抱きしめて言った。「心配するな。すでに調べてるところだ。お前を傷つけた奴らには絶対に許さない」

彼の腕の中で、初めて感じる静寂と平和、安らぎを感じた。

彼と一緒にいるときは、今までよりもずっと安心できる。

誰も邪魔しないこの時間は、まるで本当の恋人同士のような錯覚さえ覚えた。

しかし、幸せは長くは続かない。二日後、雲翔がまた現れた。

和也が私を守るように立ちはだかった。「明後日結婚式じゃないのか?兄弟、新婚おめでとう。今日は何の用だ?」

「僕の花嫁がここにいるんだよ。一人じゃどうやって結婚式ができるんだ」雲翔は私を情熱的に見つめた。

「言いたいことがあるなら早く言え。二人の間に決着をつけないと」

和也は身を引いたが、「でも、もう一度彼女を傷つけるようなことがあれば、出て行け」と警告した。

雲翔は手土産を床に置き、膝をついた。

「夏希、今まで悪かった。君のことを無視していたのは認める。でも、そんなに簡単に死刑を宣告されたくはないんだ。ただ一つの電話を取り逃がしただけなのに。五年間追いかけてくれた君に、今度は僕が追いかける番だよ。チャンスを与えてくれ」

「夏希、結婚式で待ってるからね。君が来なければ結婚はしない。僕の生涯の伴侶は君だけだ」

そう言うと、彼は去っていった。拒否する隙さえ与えずに。

和也が箱を開けた。中にはウェディングドレスが入っていた。千佳が着ていたあのデザインだった。

彼は私を見てドレスを投げ捨てた。「本気で行くつもりじゃないだろうな?行っちゃダメだよ」

鏡を見て髪を整えながら、「師匠の僕だってなかなかの男前だろ?なんであんなやつに固執するんだ」

そしてまだ近くにいた雲翔に向かって叫んだ。
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