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結局のところ-1

Auteur: よつば 綴
last update Dernière mise à jour: 2025-03-09 06:00:00

 窓の外に立つ····いや、飛んでいる2人を見て、俺は嫌気がさした。が、冷えた身体を暖めさせるのもまた良しと、自分に言い聞かせ窓を開けてやる。

 すると、さも当然のように真っ直ぐベッドへ腰掛けるノーヴァ。ヴァニルはお行儀よく椅子に座り、うきうきと此方《こちら》を観ている。

「今日は窓《そっち》から来たのか」

「“来てくれたのか”でしょ? さぁ、早く脱いで」

「お前、雰囲気も何も無いな」

「まったくです。品位の欠片も無いですよ、ノーヴァ」

「あぁそう、それは悪かったね。そんなのどうでもいいから、おいで」

 俺はノーヴァの言葉に逆らえず、すたすたと歩み寄る。

「良い子だね」

 そう言って、ノーヴァは俺の首筋に吸い付いた。

「うっ、くっ······」

「あぁ····。やはり、ノーヴァに血を吸われているヌェーヴェルは唆りますねぇ」

「うるせぇよ変態。それより、こいつが飲み過ぎないように、注意くらい··ンンッ、しろよ。またお預け、くらうぞ··んあっ」

「ぷはぁ····大丈夫だよ。今日はこれだけにしておいてあげるから。ヴァニル、昨日のお詫びだよ。好きなだけ楽しんでいいからね」

「おや、いいんですか? じゃぁ、お言葉に甘えて──」

 俺は完全にモノ扱いだ。ノーヴァはヴァニルと入れ替わり、椅子に座ってじっとこちらを見ている。

 足を組み背もたれに身を預け、なんとも我儘放題な王子の如くふんぞり返っている。が、その優美な様《さま》に見惚れてしまう自分に腹が立つ。

 “待て”を解除されたヴァニルは、タガが外れたように俺の首へ喰らいつく。このまま肉身まで食べられてしまうのではないだろうか。そう思わせるほどの激情をぶつけてくる。

 血を吸われている間、より深い快楽に堕ちるのは、ノーヴァよりもヴァニルの時なのだ。この差は一体何なのだろう。

 そんな事をふわふわする頭で考えていると、ヴァニルのデカブツが俺の穴を押し拡げながら入ってきた。いつの間にやら、しっかりと解し終えられていたようだ。

「おい、血を吸うだけじゃなかったのか!?」

「すみま
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     俺は、嫁探しの話を白紙に戻そうと模索していた。あまり時は無い。早々に理由を考え、どうにかして父さんを言いくるめなければ。 そう思っていた、見合いを終えた日の夜。「ノーヴァ、今日は勘弁してくれ。本気で言い訳を考えにゃならんのだ」「話はわかったけどさ、何にしても試しておかなきゃダメでしょ」 と、ノーヴァは俺のちんこを弄りながら言う。「試すたって····この間、お前のケツでイけたじゃないか」「お尻じゃ赤ちゃんデキないでしょ。バカなの? それに、ヴァニルに挿れられてたし。女でイク気ないじゃん」「うっ··あ、あるわ! で····なぜ手でするんだ? また女体化するんじゃないのか?」「あー····初めから女の姿がいい?」「まぁ、な。どうせ童貞は奪われたんだ。もう気にしなくていいなら、楽しめるものは楽しまなきゃ損だろ」「ヴェルさぁ、ホント欲に忠実すぎない? かつて出会ったどんな人間より素直に貪欲だよ」 褒めているのか貶しているのか知らないが、ノーヴァは呆れ顔で女に変身し、いよいよ女の身体をいただく流れになった。にしても、この緊張感は何だ。 どういうわけか震えが止まらない。震えている事がバレないよう慎重に触れてゆく。その所為か、思うように事を運べない。 悔しいが、ノーヴァの手解きに従い進めてゆく。「ん····そろそろ挿れていいよ。ヴァニルは手を出しちゃダメ。実験が終わるまで、上手に“待て”できるよね?」「わ、わかってます····」 俺の背後に近づいてきていたヴァニルは、ゴクッと息を呑み引き下がった。ノーヴァのこんなにも破廉恥で妖艶な姿を見れば、誰だって従わざるを得ない。 あまりにも残酷な結果だったの

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