あやかし百鬼夜行
鬼より人の方が鬼ではないか。
一千年生きる鬼へ嫁いだ人の物語。
容姿端麗、凛乎とした鬼と幼い頃に出会った佐加江(さかえ)。佐加江がΩと分かっていた鬼は、村での神事を危惧し、一生に一度しか使えない、人には見えない鬼の番(つがい)の証である仮紋をそのうなじへ刻んだ。
仮紋には大病から守り、Ωにとっては発情を抑制する効果がある。
Ωが成熟して再会すると仮紋は消え、番となるために発情が起こり、本紋を刻む事となる。
再会しなければ仮紋のまま、発情とは無縁に生きて行ける。
鬼は、後者を佐加江の幸せと思っていた。自分はいずれ忘れ去られる存在だと思っていた。が、二人は再会してしまった。