真依がタクシーを降りると、すぐに氷川祖母が到着した。氷川祖母が無事にタクシーから降りてくるのを見て、真依はずっと張り詰めていた気持ちが、ようやく和らいだ。「おばあさん、もし来るなら、電話をくれれば迎えに行ったのに。一人でこんな遠くまで来て、本当に心配したよ」彼女は駆け寄り、スマートフォンで支払いを済ませると、氷川祖母の腕を支え、手荷物を持とうとした。「ゆっくりでいいから。さあ、帰りましょう」しかし、氷川祖母は立ち止まったまま、首を横に振った。「家には寄らなくていいよ。長旅で埃っぽいしね。尚吾に、アカシアの花を届けに来たんだよ」そう言うと、氷川祖母は震える手で包みを開き、中のものを見せた
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