All Chapters of 婚約破棄された悪役令嬢は、聖母になりました!?: Chapter 21 - Chapter 22

22 Chapters

第21話。

 どうしてエルザをママって呼ぶのか分からず戸惑ってしまう。しかし何だろうか……。 エルザ驚いたが、嫌だとは思わなかった。むしろ心の中があたたかくなり幸せな気持ちにさせてくれる。「そうよ……ママよ」 エルザは、そう応えた。もしかして、この子はお腹の子ではないかと思えてならない。だってママって言ったし。 エルザはフフッと笑ってみせる。すると遠くから声が聞こえてきた。『こら戻って来い。クリスティーナ』(えっ? クリスティーナ?) するとハッと目を覚ました。あれは夢だったのだろうか?  気づくとエルザはベッドの上で眠っていた。するとルルとビビアンが慌てて、こちらに来る。「エルザ様。目を覚まされましたか!?」「良かったですわ。3日間も高熱を出して、ずっと寝込んでいたのですよ」「3日間も熱を出して?」 やっぱり夢だったのだろう。なら、婚約破棄も夢だったのだろうか? 何処までが夢だったのか記憶が曖昧だった。 「あの声は誰だったのかしら? 低く大人の男性だったけど、知らない声だったわ。それに、あの赤ん坊も……) 不思議に思いながら起き上がろうとするが高熱を出したせいか、ふらつく。「急に起き上がったりしたら危ないですわ」「ねえ、レイヴァン様は? 婚約破棄なんて、していないわよね?」「それは……」 すると廊下から、バタバタと誰かがこちらに来る足音がした。そして勢いよく、ドアが開かれる。「エルザが目を覚ましたって、本当か!?」「れ、レイヴァン様!?」 エルザは驚いて彼の名前を呼んだ。そうしたら駆け寄り、エルザをギュッと抱き締めるレイヴァン。「良かった……無事で」 何故、抱き締められているのだろうか? 急に抱き締められたのでエルザは、さらに驚いてしまった。「あ、あの……レイヴァン様?」 ドキドキしながらもレイヴァンを見ると、真っ直ぐとエルザを見てくれた。やっぱりアレは、夢だったのだろうか? どう見ても、婚約破棄した後の対応とは思えない。いや、むしろ穏やかになっているような気がする。 前は気遣ってくれたが、こうやって抱く以外は抱き締めてはくれなかった。冷たい表情でもない。「レイヴァン様……私達はどのような関係なのでしょうか? 婚約破棄なんて……していないですわよね?」 夢か現実か分からない記憶をハッキリさせるために尋ねた。聞く
last updateLast Updated : 2025-04-14
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第22話・隠された違和感。

 それだけ言い残すと、レイヴァンは寝室から出て行ってしまった。エルザは呼び止めることが出来ずに、ボー然とする。また来ると言ってはいたが。それはつまり、またお会いして下さるって解釈でいいのだろうか? 婚約破棄して、追放された身。しかし、見放されたわけではない様子だ。(何故……? 嫌われたはずの私に? それにあの手の傷。戒めって言っていたけど、何のために?) チラッとトムソンを見る。すると悲しそうな表情を見せてきた。「殿下は誰よりもエルザ様を大切にしております。何か事情があるのでしょう」「事情……何の?」「そこまでは私にも。ですが私達に仰っていました。お腹の子は、紛れもなく次期皇太子になる子だと。エルザ様も、お腹の子もそのように敬えと」「レイヴァン様が?」 辻妻が合うようで合わない彼の行動。試しているのだろうか? いや、それにしたら不自然だ。感情と嚙み合っていないというか……。 それに、お腹の子を次期皇太子と言った。(あれ? でも、どうしてレイヴァン様は『皇太子』と言ったのかしら?) まだ産まれてもいないから性別は分からないはずだ。女の子の可能性もある。なのに、何故男の子だと思ったのだろうか? 頭の中が困惑してくる。レイヴァンは産まれてくるなら、能力を受け継いでいる女の子の方がいいはずだ。なのにどうして……? その日は頭痛が酷くなり、それ以上考えられなかった。 しかし、それから1ヶ月後。違和感は、さらに膨らませるばかりだった。 あの日からレイヴァンは、まだお見えになっていないのだが贈り物が届くように。装飾品はもちろんなのだが、花束や本、有名デザイナーがデザインしたドレスまで。「エルザ様。こちら殿下からの贈り物でございます。有名デザイナーのルモンド・ドーランがデザインしたドレスでございます」「こちらは、そのドレスに合った宝石と靴でございます」「えぇっ!?」 ルモンド・ドーランって、あのなかなか予約が取れないと有名なデザイナーだ。本人も職人気質で気に入らないと断るとも言われている。皇族の依頼なら断らないだろうけど……。「とても素敵なデザインなんですよ。是非とも着替えてみて下さいませ」「えっ……えぇ、そうね」 目をキラキラさせてルル達が言ってくるので、言われるがまま着替えてみる。「まあ、素敵ですわ。華やかの上でエレガント。まさ
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