どうしてエルザをママって呼ぶのか分からず戸惑ってしまう。しかし何だろうか……。 エルザ驚いたが、嫌だとは思わなかった。むしろ心の中があたたかくなり幸せな気持ちにさせてくれる。「そうよ……ママよ」 エルザは、そう応えた。もしかして、この子はお腹の子ではないかと思えてならない。だってママって言ったし。 エルザはフフッと笑ってみせる。すると遠くから声が聞こえてきた。『こら戻って来い。クリスティーナ』(えっ? クリスティーナ?) するとハッと目を覚ました。あれは夢だったのだろうか? 気づくとエルザはベッドの上で眠っていた。するとルルとビビアンが慌てて、こちらに来る。「エルザ様。目を覚まされましたか!?」「良かったですわ。3日間も高熱を出して、ずっと寝込んでいたのですよ」「3日間も熱を出して?」 やっぱり夢だったのだろう。なら、婚約破棄も夢だったのだろうか? 何処までが夢だったのか記憶が曖昧だった。 「あの声は誰だったのかしら? 低く大人の男性だったけど、知らない声だったわ。それに、あの赤ん坊も……) 不思議に思いながら起き上がろうとするが高熱を出したせいか、ふらつく。「急に起き上がったりしたら危ないですわ」「ねえ、レイヴァン様は? 婚約破棄なんて、していないわよね?」「それは……」 すると廊下から、バタバタと誰かがこちらに来る足音がした。そして勢いよく、ドアが開かれる。「エルザが目を覚ましたって、本当か!?」「れ、レイヴァン様!?」 エルザは驚いて彼の名前を呼んだ。そうしたら駆け寄り、エルザをギュッと抱き締めるレイヴァン。「良かった……無事で」 何故、抱き締められているのだろうか? 急に抱き締められたのでエルザは、さらに驚いてしまった。「あ、あの……レイヴァン様?」 ドキドキしながらもレイヴァンを見ると、真っ直ぐとエルザを見てくれた。やっぱりアレは、夢だったのだろうか? どう見ても、婚約破棄した後の対応とは思えない。いや、むしろ穏やかになっているような気がする。 前は気遣ってくれたが、こうやって抱く以外は抱き締めてはくれなかった。冷たい表情でもない。「レイヴァン様……私達はどのような関係なのでしょうか? 婚約破棄なんて……していないですわよね?」 夢か現実か分からない記憶をハッキリさせるために尋ねた。聞く
Last Updated : 2025-04-14 Read more