レイナに会いたくないとか、アカデミーに行きたくないとか。この国の皇妃になる者とは思えない考え方だろうか。エルザは、レイヴァンの婚約者なのに。 まるでエルザから避けているようだ。情けない。もっと自分に自信を持てたら、こんな嫌な思考にならずに済むのに。 そんなモヤモヤな気持ちを抱えたまま、レイヴァンと芝居を見に行く日を迎える。 侍女達は、張り切って支度をしてくれた。有名デザイナーが、デザインしたダークネイビのドレス。Aラインの肩だしでスリットになっていて大人っぽい。「ちよっとセクシー過ぎない?」 と侍女達に言うが「せっかくのデートだから、それぐらいの方がいいと思います」と言われた。そうだろうか? 芝居は夕方からなので、それまでに支度をして、レイヴァン様の待つ馬車に向かった。 すでにレイヴァンは、支度を終わらせて待っていてくれた。黒と白が入った宮廷服がよく似合う。「お待たせして申し訳ございません」「いい。行くぞ」 レイヴァンはそう言うと、エルザに手を差し伸べてくれた。 エルザはその手を受け取り、馬車に乗り込んだ。そして馬車を走らせる。 向かい側に座っているのだがレイヴァンは、あれから一言も話してくれない。 目すら合わせてくれない。やっぱり似合わなかったのだろうか? セクシー過ぎて、下品だと思われたのだろうか。もし、そうなら着替え直したいぐらいに恥ずかしくなってくる。「あの……このドレス。やっぱり似合わなかったでしょうか?」 我慢ができずに、レイヴァンに聞いてみた。するとレイヴァンはエルザをチラッと見てくれたが、すぐに目線を戻してしまう。 やっぱり………とエルザは落ち込む。「私は、君に似合わないと思ったことは一度もないが」「えっ?」 その言葉に驚き、レイヴァンの方を見る。しかし、レイヴァンは窓の方を見ていた。「レイヴァン様……今、何て?」「……何も言っていない」 無表情にさっきの言葉を否定してきた。でも……確かに。 しかし皇太子であるレイヴァンの放った言葉は絶対だ。本人がそう言った以上は、否定はできない。エルザは「そうですか」とだけ答えた。 そうしている間に劇場がある建物についてしまった。馬車が停まると、レイヴァンが先に降りて手を差し伸べてくれた。その手を取り降りる。 大きな劇場で何千人の人が観賞ができそうだ。連れ
Last Updated : 2025-04-04 Read more