All Chapters of 君が目覚めるまではそばにいさせて: Chapter 21 - Chapter 25

25 Chapters

1-21 疑惑 2

「おい、千尋ちゃん暫くここに来ないんだって? 体調が悪いらしいじゃないか。早く良くなるといいな。患者さん達もヤマトに会えるの楽しみに待ってるし」患者のマッサージを終えて片付けをしていた里中に先輩の近藤が声をかけてきた。「え? 千尋さん具合悪いんですか!? 誰にその話聞いたんですか!」里中は驚いて近藤に詰め寄る。「お前、聞いてないのか? あ~そっか。千尋ちゃんの代理の人がやってきた時、お前患者さんの対応中だったな。ほら、あの人に聞いたんだよ」近藤の示した先には中島が花を飾っている所だった。「あの人が店長?」「うん、俺よりは年上だろうけど中々美人だよな~。ま、俺の彼女には負けるけどな。何たって笑顔が可愛いし……」里中はそんなのろけ話を上の空で聞いていた。(どうする、今千尋さんの具合の様子をを尋ねてみるか? でも正直に答えてくれるだろうか……)そこまで考えて、里中にある考えが閃いた。****「よし、終わり。うんうん、我ながら完璧な仕事ね」中島は自分が仕上げたフラワーアレンジメントを満足気に眺めた。秋らしく、暖色系の色でまとめてピンポイントに赤や紫の色の花を添えてみた。仕事も終了したので責任者に声をかけて帰ろうとした時に、突然中島は声をかけられた。「すみません。『フロリナ』の方ですよね? 少しよろしいですか?」中島は声をかけてきた青年を見た。(あら、随分若いスタッフね)「はい。何か御用ですか?」「俺、里中って言います。さっき同僚の先輩から千尋さんの体の具合が悪いって聞きました。それで、ちょっと気になる事があって……」(え? 何この男?)突然千尋のことを尋ねてきたので身構えると、里中が慌てて弁明した。「あの、実は1週間程前に千尋さんと駐車場に一緒にいた時に強い視線を感じたんです。その日の夜から毎晩俺の携帯に無言電話がかかってくるようになって、昨夜とうとう相手がしゃべったんですよ。彼女に近寄るなって。だから千尋さんに何かあったんじゃないかと心配になったんです」その言葉を聞いて中島は眉を顰めた。「あなた……失礼ですが、うちの青山とはどのような関係ですか?」「は? 関係?」「彼女と交際してるんですか!?」中島は口調を強めた。「とんでもないですよ! 病院で知り合った、友人関係でもない只の顔見知りですよ」「それじゃ、青山さんはあ
last updateLast Updated : 2025-04-02
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1-23 疑惑 3

「この書類、新しい契約書になります。よろしくお願いします」「どうもありがとう」契約書を受け取ると中島は帰って行った。(本当は自分でこの契約書を持って千尋さんに会いに行きたかったけど、怯えさせてしまうかもしれない。それよりも俺のやらなくちゃならないのは犯人を見つけ出すことだ。一体どうすればいいんだ……?)具体的な考えはまだ何も浮かんでこなかったが、あまり時間はかけたくない。(取りあえず、共通の知り合いにかまをかけてみるか……?)気持ちを新たに、里中は仕事に戻って行った――**** 休憩時間の合間を縫って、里中はさぐりを入れてみることにした。けれども男性スタッフ全員が妻帯者であったり、彼女を持っていた。しかも全員が里中が尋ねもしないのに、のろけ話をしてくるので話にならない。(参ったな……。ここのスタッフかと思っていたのに空振りだったみたいだ)「……コーヒーでも買って来るか」 自動販売機の前でコーヒーを買おうとしていると背後から声をかけられた。「今日もコーヒー買うのか? 里中」振り向くと、そこにはオペレーターの長井が立っていた。「そうか、今日も入れ替え日だったのか」(そう言えば長井もここに出入りしている人間だから、千尋さんの顔を知ってるかもしれないな)長井の顔をじ~っと見た。「な、何だよ。男に見つめられる趣味は無いぞ」「なあ、長井……」「ん? 何だ?」「お前彼女いる?」「いきなり何言い出すんだよ。まあ、正直に言うと現在募集中かな」「ふ~ん。そうか」(長井は彼女がいない。可能性はあるな……。でもストーカーするタイプには見えないけどな)「突然どうしたんだよ? そういうお前はどうなんだ? 彼女いるのか?」「そんなのいねーよ。ま、今は仕事で精一杯だからな」(本当は千尋さんが俺の彼女になってくれたらなー)里中はお金を入れて自販機の缶コーヒーのボタンを押した。ガコン!出て来たコーヒーを取り出す。「それじゃ俺もう仕事に戻るわ。じゃあな」手をヒラヒラ振り、里中は缶コーヒーを持って職場に戻って行った――****ーー17時「お疲れさまでしたー」退勤時間になり、里中は帰ろうとすると野口に声をかけられた。「里中、『フロリナ』に行くんだろう?」「いえ、行くのやめにしました。今日代理で来た方に書類渡しましたから」「そうなの
last updateLast Updated : 2025-04-02
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1-24 消えたヤマト 1

 フードを被った男がシャッターの下りた<フロリナ>の前に立っていた。警察もあの女も邪魔だ……。彼女から何とか引き離さなければ…。****  警察官による定期的なパトロール、そして中島が一緒に家に居てくれる為、千尋は以前よりも穏やかに過ごせるようになっていた。毎日ポストに自分の隠し撮りされた写真や手紙が投函されていることは中島から聞いていたが、目に触れさせずに警察に提出してくれている。中島には感謝してもしきれないので千尋はお礼を兼ねて、毎日腕を振るって料理を作っていた。「店長、今日はホワイトソースのチキングラタンにオニオンスープ、それにミモザサラダのフレンチドレッシング和えですよ」「すご~い! まるでレストランのディナーみたい!!」中島は目をキラキラさせて大喜びしている。2人の賑やかな食卓の足元ではヤマトが尻尾を振りながら餌を食べていた。「そんな、大げさですよ。本当に店長には感謝してるんです。周囲には警察の人が巡回してくれているし、店長も家に泊まり込んでくれていますから。私とヤマトだけだったら怖くて家にいられませんよ。どうぞ、食べて下さい」中島は熱々のグラタンを口に運んだ。「美味しい! こんなにおいしいグラタン初めて食べるわ!!」「良かった~。お口に合ったみたいで」「そう言えば、今日病院に行った時に里中さんていう人に会ったのよ。ひょっとしてストーカー相手を突き止められるかもって言ってたわ」「え? 本当ですか!?」「ええ。彼の所には毎晩無言電話がかかっていたそうよ。彼が言うには自分のことも青山さんのことも知っている人間が犯人じゃないかって言ってたわ」「私と里中さんを知ってる人物……?」千尋には全く心当たりが無かった。「うん、だから犯人が見つかるのも時間の問題かもよ?」「それならいいんですけど……」「大丈夫だってば! 全て解決したら彼も誘ってお酒飲みに行きましょ?」「はい!」(良かった、青山さん。少し元気が出たみたいで)この後、2人はいつも以上に会話が弾み、楽しい食事の時間を過ごすことが出来たのであった。****――21時過ぎ2人人で食事の後片付けをしていた時に突然「ピンポーン」と玄関のチャイムが鳴った。「え? だ、誰?」千尋はビクリとなった。「大丈夫よ、青山さん。私が玄関の様子を見てくるから絶対出ちゃ駄目よ
last updateLast Updated : 2025-04-03
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1-25 消えたヤマト 2

中島と警察官がパトカーで店まで出かけた後、残った警察官は千尋に言い聞かせる。「いいですか? 戸締りをしっかりして一歩も家から出ないようにして下さい。私が外で待機していますので安心して下さい」「はい、ありがとうございます」千尋は警察官が門の外へ出ると、鍵をしっかりかけたが身体の震えが止まらない、そこへヤマトがやってきた。「ああ、ヤマト」千尋はヤマトをしっかり抱きしめた。「私を守ってね……」ヤマトは黙って頷く。その時――ガチャーンッ!!遠くで何かガラスのようなものが割れる音が聞こえて悲鳴があがった。バタバタバタと走り去っていく音が聞こえ……やがて音は遠ざかり、辺りはまた静けさを取り戻した。「な、何!?」千尋は飛び上がり、耳を澄ましたが何も聞こえない。5分程経過した時に、玄関の方でガチャガチャと音が聞こえた。「――!」千尋は恐怖で身体が動かない。「ウウ~ッ!」ヤマトが立ち上がり、今まで一度も聞いたことがないような低い唸り声をあげて玄関の方を睨み付けている。「ヤ、ヤマト……?」—―ガチャッ……玄関の開く音が聞こえた。「!!」千尋は思わず叫びそうになり、両手で口を押えた。ギシッギシッ……廊下を進んでくる足音が聞こえる。(いや……誰……? 怖い……!!)その時。「ガウッ!!」ヤマトが鋭く吠え、廊下を飛び出した。「うわっ!」直後、はっきりと聞きなれない男の叫び声が聞こえた。「くそっ! は、離せ!!」ヤマトが侵入者と格闘しているようだが千尋は恐怖で動けない。バタバタバタッ!!「ワン! ワン! ワン! ワンッ!!」走って逃げる足音とヤマトの吠える声が完全に聞こえなくなるまで、千尋は一歩も動くことが出来ずにいた。やがて静かになったところで千尋は我に返った。「ヤマト……?」玄関へ向かうと、ドアは開け放され、ヤマトの姿も侵入者の姿も見えなかった。「ヤマト……? ヤマト!!」玄関を飛び出すと、慌てて走ってきた警察官と鉢合わせした。「一体、何があったんですか!?」千尋は警察官に詰め寄った。「それが、近所で石で窓ガラスを割られる事件が発生したんですよ。急いで様子を見に行って話を聞き終わった後、こちらへ戻ってきたばかりなんですが……この様子だと何かあったようですね……」警察官は千尋のただならぬ様子に気付いた。
last updateLast Updated : 2025-04-03
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1-26 消えたヤマト 3

「青山さん……?」中嶋は千尋の家に戻ると、俯いて床に座り込んでいる千尋を見つけた。「店長……。ヤマトが……」中島は何も言わずにギュッと千尋を抱きしめた。既にヤマトが千尋を守った事も聞かされているのだ。「大丈夫、ヤマトが見つかるのを信じて待ちましょう?」千尋は黙って頷いた。しかし、この夜ヤマトが戻ってくることは無かった――**** —―翌朝里中は出勤時、守衛室をチラリと覗いて見たが話しかけてきた男は素知らぬ顔で座っている。(……妙な男だな……)病院のロッカールームで先程の守衛の男のことを思い出してみた。(おかしい……何故昨夜は無言電話がかかってこなかったんだ……?)ぼんやり考えていると、ポンと肩を叩かれた。「おはよう、里中」 振り向くと先輩の近藤だった。「なあ、知ってるか? 昨夜<フロリナ>でボヤ騒ぎがあったって」「え!? 何ですか? その話は!?」里中は嫌な予感がした。「さっき俺も聞いたんだが、知り合いがあの花屋の近くに住んでいて夜の9時過ぎ……だったか? シャッターの前に段ボール箱が置かれて燃やされたらしいぞ? でも大した被害は無かったらしいけどな」「そんな……」(ひょっとすると昨夜俺に無言電話がかかってこなかったのは、あのストーカーが燃やしたのか? 恨みとかで……? でもそれだけじゃ説明がつかない……)「おい、どうした? 里中? 遅刻するぞ?」近藤が声をかけてきた。「あ、いえ。何でもないです!」里中は慌ててユニフォームに着替え始めた—— リハビリステーションに行くと何故か騒がしい。見ると主任が数名の男達に取り囲まれているのである。「あれ? 一体何があったんだ?」一緒にやってきた近藤は不思議そうに眺める。その時、主任がこちらを見た。「里中! ちょっとこっちへ来てくれ!」「はい、何でしょう?」呼ばれて行くと、50代位の男性に声をかけられた。「里中さんですね? 我々はこういう者です」取り出したのは警察手帳である。「!」「少しお話したいことがあるので、お時間いただけますか?」里中は主任の顔を見ると、黙って頷かれた。「はい……大丈夫です」「ありがとう。ではついてきてください」   病院の外に連れ出されると入り口にはパトカーが止まっていた。「あなたを案内したい場所があります」パトカーに
last updateLast Updated : 2025-04-03
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