宴会が始まった。デザイン界の集まりらしく、様々なデザイン作品の紹介が中心となり、遥香の作品ももちろんその中に含まれていた。彼女が今回出品したのは、小さな王冠だった。まるでお姫様の宝物のように愛らしく輝き、会場の全員の視線を集め、遥香のデザイン理念の素晴らしさを称賛する声が上がった。一方、瑛太もこの時間を使って、現在の美月について知ることができた。彼女は死を装ってカナダに来てから名前を変え、水野スタジオを設立し、自分の実力だけで今の地位まで一歩一歩登りつめてきたのだ。今の遥香は輝くばかりで、名高いデザイナーとなっていた。一方、かつて絶頂を極めた森下グループは今や経営難に陥り、この宴会に参加できたのも過去の名声のおかげだった。瑛太はその王冠を食い入るように見つめ、かつての約束を思い出した。彼は遥香を永遠のお姫様にすると誓ったのだ。これを彼女に贈れば、きっと喜んでくれるはず......競売の時間になると、遥香の作品の素晴らしさから、価格はすぐに2億円まで跳ね上がった。現在の森下グループにとって、それはもう手の届かない金額で、資金繰りもそれほどの大金を支えられない状況だった。それでも瑛太は札を上げた。「4億円!」彼は声を上げた。「瑛太、正気?」真緒は驚いて叫んだ。彼女は森下グループの現状を知っていた。4億円はおろか、2億円でさえすぐには用意できない。瑛太は会社を捨てるつもりなのか!「4億2千万円」誰かが値を上げた。「5億円!」瑛太はさらに値を上げ、遠くにいる遥香を見た。真緒の顔は青ざめた。この金額はもうその王冠の本当の価値を超えており、森下グループを崩壊させる最後の一撃になるだろう。そうなれば、彼女のこれまでの忍耐はすべて無駄になる。しかも今は彼との子どもまでいるというのに......真緒は涙ぐみながら瑛太の腕を引いて懇願した。「諦めて、瑛太、お願い。このままじゃ会社が本当に倒産して、すべてを失うわよ!」「美月を失った時点で、俺はすでにすべてを失っていたんだ」瑛太は冷たく真緒の手を振り払い、再び札を上げた。「6億円」価格は誰も手が出せない高さに達し、司会者も驚きの声を上げた。今夜の最高額で、2位はわずか2億2千万円だった。もう誰も競り合わず、王冠は瑛太のものとなった。真緒は椅子に
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