「翔明、以前教えたでしょ?礼儀を守って、嘘をついてはいけないって。でもあんたは清良に会いに行くために、私に何度も嘘をついたでしょ?私があげないお菓子やおもちゃを清良があげるからって、事故の時に清良のほうを守って、清良に会いに行くために私に嘘をつくの?」文香はもう怒らないと思っていたが、本当に翔明と再会した時に、やはりイラッとした。命懸けで産んだ子に対して、文香はとても期待していた。だから「翔明」と名付けた。空を翔ける鳥のように、明るい未来を迎えてほしいと願っていた。嘘をつくことを教えた覚えはなかった。なのに知輝の影響で、何度も自分に嘘をついてきた。「チャンスはもうあげたわ。初めて私を避けながらパパと一緒に清良のところに行く時に、私は『どこに行くか正直に言って』って言ったの。『本当に清良の別荘じゃなくてそこに行くのね?』って何度も確認もしたの。なのにあんたの答えは?」知輝の浮気を知った時に、文香は「大丈夫。まだ息子がいるから」と自分に言い聞かせた。だから、すべての愛を自分の息子に捧げた。息子がもう少し成長してから、知輝と離婚して息子を連れて行くことまで考えていた。そんな自分からすべての愛をもらった息子にとって、結局自分のことがどうでも良かった。「お菓子を禁止したのは、あんたの胃が弱いから。食べたらただ下痢だけならまだいいけど、病院に入っちゃったらもう知らないわよ毎回病院で検査を受けた時にも、先生に何度も注意されてたのに、本当にちゃんと聞いてたの?それにそのおもちゃも、あげないわけじゃないけど、バイキンがついててアレルギー反応を起こしちゃうおもちゃもあるからよ。アレルギーで病院に入っちゃったらどうするの?だから私があげたのは全部消毒済みのものよ。けど清良があげたのは全部、質が悪いだけじゃなくて、消毒もしてないものだったよ。本当、今まで生きてこれたのは奇跡だわ」と、少し皮肉に聞こえる語尾で、文香ははっきり言った。1年間の別れを経て、翔明はもう反省していた。母の叱責を聞いて、ただ頭を垂れて、声を殺して涙を流していた。かつてなら文香はきっと心が痛んで、その子を抱きしめながら慰めていた。しかし今は、ただ見守るしかなかった。静かな病室で、文香のスマホはいきなり鳴った。電話に出たら、奈々のちょっぴり寂しそうな声は向こうから
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