All Chapters of 羽琴の姫君…羽琴をつま弾く哀しき姫の願いと流転する悲劇の果て2: Chapter 1 - Chapter 10

21 Chapters

羽琴の姫君 始まり 人質の身代わり

昔・・白の国の王族に 羽琴の姫君と呼ばれる美しい姫がいた・・。 金の髪に 青と薄紫のオッドアイの瞳の姫その昔 羽琴の姫君 エリンシアナは 白の国の統治者である 白の宗主に願い出でて こう言った「どうぞ 私を… エイル、エルトニア姫の代わりに 黒の国へ行かせてくださいませ」「エルトニアはまだ幼い子供 白の王族であれば 誰でも構わないはず あの子は大事な私の姉の忘れ形見の子供」 「お願いです!どうか願いを聞き届けてくださいませ」白の宗主は しばらく沈黙していたが やがて口を開いた「そなたは私の側室の一人 誰よりも素晴らしいあの扱いの難しい羽琴を奏でる者 そうそう 手放すと・・?」「宗主さま・・どうか・・」「自分の子供は可愛いか?」 ハッとして、目を見開いて、白の宗主を見るエリンシア姫「私が知らぬとでも、思っていたか?羽琴の姫君よ」「そなたが私の傍に、来る前に 跡継ぎ争いで 私が殺した私の弟が」 「そなたと恋人同士であった事など、前から知っていた」「密かに産んだ子供を子供がいなかった姉夫婦に託して 私に乞われるまま、いやいやながら私の側室になった」「同じ瞳 オッドアイの瞳、さすがは親子だ」 「まあ、良い、幾度抱いても、そなたは私に心を決して開かぬ いとまをやろう、何処へなりとも行くがいい」「だが、黒の国で何が起ころうとも、私はそなたを助けてやれぬぞ、良いな!」「はい、仰せのままに…この国の支配者、白の宗主様」
last updateLast Updated : 2025-02-18
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第二話 故郷の残された日々…穏やかな時間

そうして数日後の事義兄とその幼い子供であるエイル・・エルトニアが彼女の居住する屋敷にやって来た「エリンシア姫様!叔母様!」幼い子供の明るい声駆け寄り 腕を広げたエリンシアのその胸に抱きとめられるエイル「まあ!エイル、エルトニア姫」「エリンシア姫」「お義兄様」呼ばれて 幼いエイルを抱きしめたまま 傍にいた男エイルの父親に微笑む「本当に 敵対していた黒の国へ行くのか?」「はい」「そなたには 申し訳ないと思っているよまさか、エイルが選ばれて 先々の事を思い困り果てていたらエイルの身代わりになろうとは・・」「身代わりなんて・・良いのです これで・・」「私の事は心配なさらないで・・今回は平和条約の対等な取引黒の国からは 黒の王子確 名前はアーシュランと言われたかしら?その御方が 白の国に来られるそうですから」「知ってるよ・・まだ彼も幼い子供で、私が預かる事になっている」「!まだ幼い子供なのですか?」「エルトニア、エイルより少し年上らしいが、そう年齢は変わらないと聞いているそうだ、黒の王の家族達の絵姿を描いた絵が送られて来たあとで見せてあげよう それに描かれてるだろうし」「有難うございます 義兄様、それにしてもエイル、エルトニア姫はしばらく見ない間に大きくなられましたね」「エイル、この子は両生体だから、どちらの性を選ぶのでしょうね?」エイルのオッド・アイ 片方が茶味がかかった金色 もう片方は天上の青・・可愛らしい整った容姿を ほれぼれと見る「どちらの性を選ぶとしても、綺麗な子になるでしょうね…ふふふ」「お茶とお菓子の準備は出来ていますわ」「本当?叔母様」「ええ…エルトニアが大好きなあの赤い果実テインベリーのケーキも用意してますよ」「叔母様 羽琴も演奏してくださいますか?」「もちろん! さあ中へどうぞ後から リアン様もおいでになるそうですわ」「リアン兄様も!楽しみ♪」「うふふっ」楽しそうに笑うエリンシア姫小1時間後ほど リアンが 白銀の髪をした女ケンタウロスの騎士をお供に伴い やって来た「リアン兄様!」エイルは嬉しそうに声を上げる「リアン様」微笑むエリンシア姫
last updateLast Updated : 2025-02-18
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第三話 白の国で…

「これはリアン様よく来られましたな」エイルの父親が答える「皆様、こんにちわ、久しぶりに会えて嬉しいです」リアンと呼ばれた淡い金の髪をした13歳前後の少年は微笑みながら、そう答えた。「リアン様、お供の方、ケンタウロスの女騎士…確かレグルス様は こちらにはお通しされなくてよいのですか?」「いえ、彼女レグルスは向こうで控えてるそうですただ、良ければ何か……」「ええ、お酒がお好きでしたね 召し上がれますか?」「いえ、それには及びません、一応、僕の警護 仕事中ですからね」「では、何か飲み物と軽い軽食でも 召使に用意させましょう」「有難うございます エリンシア姫様」「エリンシア姫様は いつもお優しくて 数年前に亡くなった身分の低い母をいつも庇ってくださって感謝してます」「そんな・・あの方は 物知りで 色んな事を教えて下さったわそれに 同じ白の宗主様の側室でしたからあの方こそ 私を何度も助けてくれましたわ」「エリンシア姫様」「さあ お茶とお菓子のお替わりは如何ですか?羽琴の演奏をしますが 何かリクエストがあれば?」「有難うございます では 夜想曲を・・」「あ!叔母様 僕は 雪花祭りの歌が聞きたいです」とこちらはエイル「はいはい わかりました では夜想曲から・・」羽琴と呼ばれる琴の楽器・・大きく 琴が幾つも 一つは正面と斜め横にと また3つ琴と弦が重なりあい下には 土台がそれらを支えてる小さな椅子に座り 巧にその弦を弾きらして 音楽を奏でている・・妙なる調べ・・次々と曲がリクエストされて夕方 近くまで その演奏会は続いた楽しいおしゃべりの後で・・「では エリンシア姫様 僕はこれで・・」「良かったら 夕食でも?」「いえ 明日 家庭教師から出される試験がありまして 帰って勉強しないと」リアンは答える「じゃあ!またねリアン兄様 僕らは夕食まで叔母様と食べるよ」「リアン様 また・・」「はい!また」リアンは 女騎士である白銀の髪のケンタウロスの背に乗り 帰路についた「リアン殿」そっと白銀の髪のケンタウロス・・美しい女騎士、戦士のレグルスが声をかける「二人だけの時は リアンでいいよ」「そういうわけにも・・な・・リアン殿ところで あれが 噂の羽琴の姫君か?向こう側の部屋にも演奏の音が流れてきたが 素晴らしいものだ
last updateLast Updated : 2025-02-18
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第四話 黒の国へ 戻れぬ旅路

黒の国への旅立ち 戻れぬ旅路それから・・エリンシアの屋敷では・・「あら、エイルはお眠?」 ゆったりとしたソフアですやすやと寝息を立ててエイルは眠っている「ふふ 義兄さま 今日は泊まってゆかれては?」「そうさな お言葉に甘えよう 有難うエリンシア姫」「はい どういたしまして」そして・・それから・・瞬く間に日々は過ぎ・・見送られて 羽琴の姫・・エリンシア姫は旅立った「エリンシア姫 叔母様」「エリンシア姫」「姫様」優しく多くの人に慕われてた姫・・見送る者の中には 涙ぐむ者もいた 「どうか 皆様 お元気で・・」「義兄さま・・リアン様どうか エイル・・エルトニア姫をよろしくお願い致します」「叔母さまああ」ほろり・・そして 涙を流すまだ幼いエイル・・エルトニアリアンは前に進みでて、金の髪飾りを差し出す「エリンシア姫さま どうぞこれを」「まあ!有難うございますリアン様あ、そうだわ これをどうぞ」そう言って 荷物の中から 小さめの持ち運べる竪琴をリアンに差し出す「私が 以前、姉さまから頂いた物ですが最近は羽琴しか扱わず あまり使わないものですからリアン様も楽器はお好きでしたから」「そんな・・いいのですか?」リアン「ええ どうぞ」微笑んで リアンの手渡すリアンはその竪琴を受け取った「有難うございます エリンシア姫様」そうして 集まった皆を見渡して「叔母様!」「あっ、エイル エルトニア」抱きついてきたエイルを抱きしめて、額にくちずけをして そっとエイルのその幼い身体から手を放してから「元気で健やかに ずっと祈っております」そう言い残して 白の国を去っていった今度は エイルをそっと後ろから抱きしめるリアン「大丈夫、何年かたったら、きっとお戻りになるよ」「うん、わかりました リアン兄さま」鼻を赤くして、まだ少し瞳に涙を残したままエイルはリアンに答えただが、しかし運命は 羽琴の姫君の故郷である白の国への帰還を許すことはなかったのだった...。
last updateLast Updated : 2025-02-18
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第五話 人質になる王子

こちらは黒の国 黒の王宮 人質に選ばれた王子アーシュ黒の王宮の片隅 静かに 窓辺で本を読んでいる まだ幼い少年黒髪が風に揺れていた 「アーシュ兄さま」綺麗に着飾った 美しい少女が部屋に飛び込み 彼に抱き着く綺麗な美しい衣に艶やかな髪、黒髪は複雑な形で結われて 宝石のピンをつけて煌めく まだ幼いが極上な美貌の持ち主少年と少女の宝石 ルビーのような赤い瞳が互いを見ている「…テイ テインタル」少年は 表情も変えずに ただ一言「あのね テイは刺繍入りのハンカチを作ったの 使ってね」頬を赤くして 少女はハンカチを差し出す「・・・・・」「どうかしら?」「とても 良く出来ている 嬉しいよ」「うふふ 有難う 兄さま」あまり表情を変えずに 一言ぽつん「あの、兄さま 本当に白の国へ行かれるの?」「ああ、父王たちがそう決めた」哀しそうな表情を浮かべるテイ、テインタル「私もついて行きたい」テイが抱きついたまま ぽつりと一言「・・元は敵国 大使というのは名目で人質だ変な事を言うじゃない 火焔の瞳の王女さま」「それに 300年、アジェンダ王以来の火焔の瞳の持ち主 長く出現を待ち続けた 火焔の王女だ戦の為に生まれてきた魔力を示す宝石のような深紅、火焔の色」 「弟の瞳の色は 確かに父と同じ色の金色弟のアジュアリは次に望まれる魔力である黄金、黄金色の瞳ではあるが」 「将来はお前が間違いなく女王だ」「それ 変、だってアーシュ兄さまだって 私と同じ赤い瞳よ」「俺は 人族の寵姫の子 しかも哀れな母のリジャは浚われて 一時、夜の・・多くの者達が母に触れてあ、いや 何でもない」「・・長年 子供が出来なかったから 子供が出来やすい人族の女に俺を産ませただけだ」 「当然だが 俺の魔力も寿命も純血な者達とは違う 半分くらい」「正妃アリアンさまと父王アージェントの子のお前とは立場が違い過ぎる」「だから、正統な純血な血を持つのは 異母妹弟テイとアジュアリだけだ」不満そうに兄アーシュを見つめる 異母妹のテイ「だって、変よ、兄さま本来なら 赤い火焔の瞳というだけで この黒の国は・・」テイ軽く笑みを浮かべ アーシュは手元にあった小壺から手製のクッキーを取り出して 異母妹のテイの口に押し込むはぐはぐ モグモグ「美味しい 兄さまのお手製ね」「まあね 」
last updateLast Updated : 2025-02-18
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第六話 到着 入れ代わりの人質達

白の国から 実質上の人質 エリンシア姫が黒の王宮に到着した黒の王たちが 彼女を出迎えた物憂い顔で美しい顔立ちの竜の王と呼ばれる黒の王黒髪は長く 金色の瞳の持ち主王の名はアージェントしかし 右の片方の瞳を隠している そう、戦で失われた瞳 再生能力を持つ黒の王族でさえ 再生が叶わなかったのだその隣には 類まれなる美貌の持ち主の黒の王妃艶やかな長い黒髪は纏められて 綺麗な金の飾りで飾られている腕には 赤ん坊 正統なる血を持つ 王の嫡子・・王子王妃の傍に アジュアリ王子の姉になるまだ幼い少女エイルとそう変わらない年頃の少女テインタル王女 美しい幼い少女 火焔の瞳の王女側近のタルベリという男 小男で 小男で耳が大きく少々 人は違った姿をしているなかなかの切れ者だという話を 白の国で聞いた事がある「エリンシア姫様 ようこそお越しになられました」うやうやしくタルベリイは頭を下げたそれから家族とは少し離れた場所に立つ少年その少年こそ 黒の国の王子アーシュ、アーシュラン少年は 軽く会釈した燃えるように深く紅く時に金色の光を映す少し吊り上がった瞳が印象的な黒髪の少年・・交換に 人質として白の国へ送られる予定の王子戦が、事があれば、人質として処刑の運命が待っている。もちろん それは本来なら羽琴の姫君エリンシア姫も同様であるがしかし その少年・・王子こそ後に 黒の国が一度 滅亡の憂き目にあった時に 生き残り 黒の国で生き残った貴族のリュース家の者達竜の顔をした猛将セルト達と手を携えて黒の国を復活させ、火竜王(サラマンデイア)黒の王となり白の国でまだ幼いエイルと出会った事により 彼女を想い焦がれ彼女一人を救いたいが為に 巨人族に滅ぼされようとした白の国を救う事になる・・などとそんな運命を持った少年そう、エリンシアが誰より守りたかったエイル・エルトニアの運命の恋人となる少年そう・・もちろん・・それは後々の未来の御話ではあるのだが
last updateLast Updated : 2025-02-19
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第七話 寂し気な…見捨てられた、孤独な王子

「白の国の姫よ これは私の大事な家族と側近のタルベリイ後程 それは歓迎の食事会の時に この場にいないもの達も含めてゆっくり紹介しよう」「私の息子アーシュランは 間もなく 白の国に出発するのでここで・・」「王子様 アーシュラン様」エリンシア姫は 微笑みかける少し戸惑いの表情をみせながら アーシュランは再び会釈した「初めまして 白の国のエリンシア姫様 私はこれから すぐに出発しますのでこれにて 失礼いたします どうぞ つつがなく黒の国で過ごされてください」 そう言い残して 振り返りもせずにその場から立ち去ったまだ 幼さが残る どこか寂しげな後ろ姿が印象に残る・・「エリンシア姫様 どうぞこちらです」 明るく笑う幼い少女 王女彼女の瞳も 先ほどの少年 王子と同じもの 赤い火焔の瞳エリンシアは思い出すそうだったわ 先読みの占い師の間では 有名な話・・黒の国の次世代は 焔の使い手 瞳はその証を示すもの・・でも・・本当に不思議な色の美しい瞳だわ・・エリンシアはそう思った夜 歓迎の宴は始まる離れの大広間に向かう 道の途中の屋根のついた柱の道ふと 気が付いてみると 数頭の馬が王宮の外に出ようとしていたよく見ると 2頭目の馬に先程の少年 黒の王子アーシュランが乗っている1頭目は 警護の者 3頭目には同じく警護の者だろうたった2人の警護の者だけ・・見送る者もなく まるで捨てられているかのごとく・・「・・・」「姫さま・・」「あまり 気にされない事です」それは、つい先程、エリンシア姫付きの女官となった 黒の国の女官は続けて言った「あの方の半分の血は 卑しい人族の者ですわ母親は卑しい身分の者・・売春宿にいた事もあるのですから・・」「え?それは・・一体どうゆう事ですの?」女官は エリンシアに事の次第を問われるまま あっさりと話をした王子アーシュランの母親は 人族の娘しかも一度攫われて 売春宿にいるところを恋人であった竜の顔を持つ戦士セルト殿に救われてある時 偶然、黒の王の目に止まり、無理やり恋人との仲を裂かれ王のものになったというその為 黒の王はありもしない罪を軍の司令官の一人だった戦士セルトにおわせ、追放させ戦士セルト彼は幼い義理の妹とともに王都から出ていったというしかも そのアーシュラン王子の母親は数年前に流行り
last updateLast Updated : 2025-02-19
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第八話 歓迎の宴

歓迎の宴は 華やかなものであった「エリンシア姫・・我が王妃 黒の王妃アリアンです」「アリアンですわ エリンシア姫」黒の王 竜王に紹介されて アリアンは微笑んで答える「見事な金の髪に変わった 美しい瞳の持ち主ですね エリンシア姫」「有難うございます」「娘のテインタル姫です」「テインタルです これから宜しくお願いいたします」美貌の母親に似た 綺麗な顔立ち 焔の瞳を持つ少女「アリシュア王子です」アリアン付きの女官の腕に抱かれた王子・・すやすやと眠っている先程、赤ん坊を見た時にはその瞳は金色どうやら先読みの予言では 次の王は焔の力を受け継ぐ者火竜王(サラマンデイア)を名乗り黒の王となるはずの者赤ん坊は焔の力は受けつかなったようなのだが・・?中級レベルの炎なら扱えるはずだが‥・・では、少女が女王となり、この黒の国を受け継ぐのだろうか?黒の王と赤ん坊の王子の金色の瞳火、水、風、大地すべての属性と守護を合わせ持ち それらの魔法を全て使いこなすまた、時に相手の心が視えるだけでなく 先読み・・過去見と予知の力を持つという ゆえに竜の王と呼ばれる長年戦続けていた白の国の場合は 白の王族の属性もまたそれと同じく近い 幻惑と幻獣に特に特化している「エリンシア姫は羽琴の名手だという御話を聞きましたが?」「はい、白の宗主様の御前や宴では演奏いたしました」「では一曲 所望しても構いませんかな?」黒の王アージェントが問う「はい 黒の王様 なんなりとご所望の曲をどうぞ・・」とエリンシア姫は微笑み答えた見つめる黒の王・竜の王の金色の瞳に 何か心の琴線に触れる思いをエリンシアは感じたそれから 何事もなく、平穏な日々の数か月の時が流れ・・エリンシア姫は この黒の王宮に庭の眺めの良い大きな部屋を与えられ数人のエリンシア付きの女官が従い 事細かい要件をこなしてくれた
last updateLast Updated : 2025-02-19
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第九話 白の国での暮らし

白の国からの便りと黒の王女テインタルの来訪部屋には 彼女が奏でられる羽琴が置かれ彼女の為に白の国の食べ物や遠い国の珍しい美味しい食事がふるまわれる事も多くそして 事あるごとに 黒の王妃アリアンが訪ねてきた・・時折、赤ん坊や娘である幼いテインタル王女を伴う事もしばしばだった・・。この極上の美貌の王妃は エリンシアには優しく よく話をした その会話を楽しくまた・・エリンシアは 王妃や王女の為に羽琴を奏でた。庭には 花が咲き乱れ 木々には小鳥がさえずる小さな噴水が心地よい水音をさせている白の国からは よくエイルやリアン、エイルの父 義兄からの便りやささやかな贈り物が届けられた懐かしさに それらの便りを胸に握りしめるリアンや義兄の手紙には エリンシアの日常の心配とエイル、エルトニアの事黒の王子・・エリンシアと交換に白の国の人質となった黒の王子アーシュランが義兄が世話係を引き受ける事などが書かれていたまたリアンが軍事学校に入る事になった事もエイルの便りの手紙には 黒の王子アーシュランの事が事細かに記述されていた・・どうやら、エイルエルトニアはアーシュランの事を大変好きであるらしく彼は 無表情でよくムスッとしてるが 得意の火の魔法でちょっとした料理やお菓子を作ってくれたりエイルがつまずいてこけたら慌てて駆け寄ってくれるし チエスの相手や黒の国の言葉を教えたりしてるらしい王子アーシュランの方は 白の国の言葉や文字は習得済みで 特に何も教えてあげられる事はないという本当に無口で あまり自分からは話をしてくれなかったりするとも・・それから リアンの事にもよく触れていたリアンがエリンシアがあげた小さな竪琴を待ってアーシュランと三人で 近くの森にピクニックにいた時にその竪琴で演奏をしてくれたり部屋で 眠れないときには その竪琴で子守唄などを歌と一緒に演奏してくれるとよく眠れると・・ただ・・今度 遠くの軍事学校に入るので まったに会えなくなるから寂しいともエイルと義兄からの便りの中で 1つ気になる手紙があった何でも 何者かが 義兄の城に侵入して 黒の王子アーシュランを襲撃したという・・エイルも傍にいて 王子のケガよりは軽かったものの 少し怪我をしたと・・犯人は 2人で黒の国の人間襲撃犯はその場で殺してしま
last updateLast Updated : 2025-02-19
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第十話 黒の王と大貴族リュース公

リュース公と黒の王アージェントの黄金色の瞳 穏やかな平穏な日々が続く よく宴では 黒の王と会う・・彼と目が合う度に 何か 不思議な感覚を覚えるエリンシアある夜に 黒の王 片眼、黄金色の瞳の王アージェントに呼び出された向かう途中 柱の道で 美丈夫の長い金色の髪の男にすれ違う男は白い服を腰で金の刺繍入りのベルトで縛り右肩から斜めに深いワイン色のローブをかけている長い金の髪を下から軽く縛っていた切れ長な瞳は青・・なかなかの美丈夫 「え?」金髪、碧眼の特徴、白の国の方?エリンシア姫は思うだが、耳の特徴は黒の国の貴族か王族「初めまして 白の国のエリンシア姫様私は黒の国の貴族・・リュース公と言います」「はじめまして 白の国のエリンシアです」「お噂はかねがね 金の髪と、とても美しい瞳をお持ちの御方だ」不思議そうな顔をしているエリンシアの思いを察してエリンシアと同じく金色の髪をしたリュース公は答える「私たち一族には 何世代も白の貴族や王族の血が流れてるのですよ私の母親は 白の王族のリリイス姫三十数年以上前・・短い間だけ 平和条約が結ばれたのをご存知でしょうか?」「あ、はい」エリンシア姫は ハッとして答える「その時に使節として来たのが リリイス姫だが条約は すぐに破られ 当時の白の宗主は傲慢で誇り高く先代の前の黒の王族の者と恋人となっていた彼女が戻る事を許さず黒の王族の者とは結ばれる事のないまま……。もともと家族で戦(いくさ)で いなかった彼女は行き場をなくし、以前にも他には 時に戦で囚われて人質となり白の貴族の戦士と我がリュース家の姫やはり戦で人質として囚われた白の国の姫たち、その時に兵士に汚されたとして 白の国には戻れずにそのように何度も同じような事があった行き場のない白の国の者達の血が流れるリュース家に嫁いできたのです」エリンシア姫は思い出す、最初の和平条約で人質になったのは、王の従兄弟のリュース家の者、確か彼は殺された…。つまり、彼の先祖話を聞きながら 青い顔しているエリンシアに微笑みリュース公は続けて話をする「ああ・・貴方様は大丈夫ですね・・ご家族からよく便りが来ていると聞き及んでますちゃんと 戻れる場所がある大丈夫 あと数年もすれば 帰れますよ貴方の愛する人たちの元に・・」「貴方様はあの扱いの難
last updateLast Updated : 2025-02-19
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