二日後、約束通り久我は両親と共に挨拶に来た。久我の両親は誠意を示し、結納金の内容は十分なものだった。久我の母は私の手を握り、優しく微笑んだ。「お爺様、ご安心ください。瑠璃を私たちの家に迎えて、決して寂しい思いはさせません。瑠璃のお母様にもそうお約束しましたから」傍らで久我は再び婚前契約書と、複数の資産証明書を取り出した。「おじいちゃん、これは瑠璃への僕からの誓いです。彼女を愛しているから、財産の半分を譲ります」改訂された婚前契約書では、久我は自分の利益をほとんど考えていなかった。久我と彼の両親を見ながら、深津との結婚を避けられて本当に良かったと思った。おじいちゃんはこの縁談を喜び、久我の両親と日取りを決めて、すぐに区役所へ婚姻届を出しに行かせた。年配の方々にとって、婚姻届こそが何より大切なものだから。久我がインスタに投稿したのを見て、私も笑顔で婚姻届の写真を撮り、彼と手を繋いだツーショット写真も撮った。ペアリングが陽の光に輝いていた。久我は結婚式の時に、もう一つリングをくれると言った。これは普段用だと。投稿すると、昔からの友人たちが次々と祝福してくれた。この時になって、やっと皆が私が深津以外の人と結婚したことを信じたようだった。婚姻届を出した後は、ウェディングフォトと結婚式の準備だけが残っていた。私も準備に参加したかったけれど、久我が全て取り仕切って、私はドレスの試着と会場装飾のアドバイスくらいしかすることがなかった。なぜ一緒に準備させてくれないのかと尋ねたことがある。その時、彼は私を抱きしめながら、指を一本ずつ遊ぶように触れて言った。「僕が君を迎えるんだから、準備も僕がするべきだよ」この間、深津から連絡が来なかったわけではない。最初は電話を切っていたけれど、しつこいので結局新しい番号に変えた。それ以来、深津からの連絡は途絶えた。彼の消息を再び聞いたのは、結婚式の三日前だった。式当日、私と久我は早朝からホテルに向かい、ドレスに着替えてヘアメイクの準備を始めた。久我はゲストの接待を両親に任せ、自分は私の側から離れようとしなかった。鏡の前に立っていると、久我が私から目を離さないことに気付いた。その真摯なまなざしに、つい尋ねてしまった。「こんなに完璧な準備、私が戻って来てか
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