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見捨てられた者の心の叫び のすべてのチャプター: チャプター 11 - チャプター 13

13 チャプター

第11話

家に戻ると、私は真っ先に真理子が使っていた部屋に向かった。 脚立を持ち込み、四角いデザインの天井に手を伸ばして探り始めた。 彼女が生前ここに住んでいた頃、慌てた様子で何かを天井に隠しているのを見かけたことがある。 そのとき、彼女は「蚊がいたから捕まえようとしてたの」と笑いながら誤魔化していたけれど、今になって考えると、きっと何か大切なものだったに違いない。 探して......ついに見つけた! それは、深緑色の鉄製の箱で、表面には埃がたっぷり積もっていた。 箱を開けると、中にはスマートフォンと数枚の写真が入っていた。 写真には、春樹が言っていた通り、凉太が私の太腿に手を置きながらホテルから一緒に出てくる様子が写っていた。 そのほかにも、私が拒絶し、抵抗しながら凉太と口論している写真があった。 どうやら、真理子は春樹に最初の写真、あるいは私に不利な写真だけを見せたようだ。 私が抵抗し、嫌がる姿が写っている写真は、全てこの箱の中に隠されていたのだ。 私はすぐにスマートフォンに充電し、起動を試みた。 しかし、何度パスワードを入力しても正解せず、最終的にスマートフォンはロックされてしまった。 私は再び警察に通報することを決めた。 彼らなら法律という武器を使って、被害者全員に正義の光を届けることができると信じていた。 警察がすぐにスマートフォンのパスワードを解析してくれた。 中には真理子が記録していた凉太による私への猥褻行為の証拠写真、さらには彼女自身が受けた被害の記録が残されていた。 さらに、日記にはこれらの罪行が詳細に記されていた。 ついに......ついに霧が晴れ、厚い雲の隙間から光が差し込んだのだ。 凉太は猥褻罪で有罪判決を受けた。 さらに、法廷では激昂し裁判官を罵倒、警備員を殴るなどの行為に及び、これにより新たな罪状も加わった。 彼がこの先、光を浴びる日は二度と訪れないだろう。
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第12話

これは私が凉太の魔の手から逃れ、春樹と離婚してからちょうど365日が経った日の話だ。 今の私は弁護士事務所でインターンとして働き、モダンなビル群の間を忙しく駆け回る毎日を送っている。 忙しい日々だが、とても充実している。 春樹と再会したのは、自動車修理工場だった。 私がMini Cooperで泥道を一日中走り回ったせいで洗車が必要になり、ガソリンスタンドに寄った。そこで奇遇にも彼が私を担当したのだ。 私たちは言葉を交わさなかった。 彼は車を洗い、私はその間に今日集めた調査資料を整理していた。 私の上司は今、子どもへの性犯罪に関する裁判に全力を注いでいる。正義を貫き、子どもたちに明るい未来の可能性を与えるためだ。 私も少しでもその力になりたいと思っている。 洗車はすぐに終わり、私が車に乗り込もうとしたとき、彼が思わず私を呼び止めた。 「律子......」 「何かご用ですか?」 「君......今、幸せそうだね。俺......本当にごめん」 「それなら、もう何度も言いましたよね。毎回会うたびに蒸し返す必要はありません。過去は風に流れて消えました。私は振り返りたくありません」 彼は何かを言いかけたが、結局そのまま口を閉ざした。 バックミラー越しに彼の顔を見たとき、彼は顔を上げ、涙で頬を濡らしていた。 過去はもう取り戻せない。 私は前を向き、これからの一歩一歩を大切に進んでいく――そう決めているのだ。
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番外編

(真理子の視点)私が律子を初めて見たとき、とても嫉妬した。 彼女には優しくてしっかりしたお母さんがいて、彼女には頼りがいがあり、イケメンで彼女を守ってくれる恋人がいる。 でも、私には何もない。 私の父は死に、母は私を連れて再婚したが、私が継父に虐待されているのを知りながら何もしなかった。 母はこう言った。 「真理子、もうお母さんには耐えられない。あの人の異常な振る舞いには付き合えない。これからは自分のために生きる」 母は「自分のために生きる」と言いながら、私を地獄に置き去りにしたのだ。 どうして私を連れて行ってくれなかったの? 母がスーツケースを引いて家を出て行くとき、継父は母に4000万円の小切手を渡した。 そう、母は私を売ったのだ。 継父はすぐに新しいターゲットを見つけた。それは木村さんではなく、律子だった。 私は継父のような男の汚らしい考えがすぐにわかる。 でも、それは私には関係ない。なぜなら、私も律子が嫌いだったから。 彼女はあまりにも多くのものを持っている。 あの夜、彼女が私と凉太の「関係」を目撃したとき、私は彼女への嫉妬心が最高潮に達した。 どうして彼女だけが高い場所にいられるの?どうして彼女だけが清らかでいられるの?どうして彼女だけが幸せを享受できるの? この泥沼の中にいる虫は、私一人ではないはずだ! 律子、私はお前を狙った。お前も私と一緒に地獄に落ちるんだ。 見ての通り、私は心の奥底まで腐りきっている。母と全く同じだ。 律子が私に手を差し伸べてきたとき、私はその手を握るふりをした。 でも、心の中では彼女を私の代わりに地獄へ送り、自分が彼女の幸せを掴むことを考えていた。 律子と春樹が結婚して2か月が過ぎた頃、私はついにチャンスを掴んだ。 私は律子を郊外に遊びに誘った。その日は予報通り天気が急変し、大雨が降り出した。局地的な雷雨だという話だった。 私たちはびしょ濡れになり、近くのホテルで体を拭き着替えることにした。 私が浴室に入ると、すぐに凉太に連絡を取った。 もしかしたら、一瞬だけ迷いがあったのかもしれない。 「こんな善良で無防備な女性を陥れるのは良くないんじゃないか」って。 でも、心の中
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