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番外編

Author: 木閒
(真理子の視点)

私が律子を初めて見たとき、とても嫉妬した。

彼女には優しくてしっかりしたお母さんがいて、彼女には頼りがいがあり、イケメンで彼女を守ってくれる恋人がいる。

でも、私には何もない。

私の父は死に、母は私を連れて再婚したが、私が継父に虐待されているのを知りながら何もしなかった。

母はこう言った。

「真理子、もうお母さんには耐えられない。あの人の異常な振る舞いには付き合えない。これからは自分のために生きる」

母は「自分のために生きる」と言いながら、私を地獄に置き去りにしたのだ。

どうして私を連れて行ってくれなかったの?

母がスーツケースを引いて家を出て行くとき、継父は母に4000万円の小切手を渡した。

そう、母は私を売ったのだ。

継父はすぐに新しいターゲットを見つけた。それは木村さんではなく、律子だった。

私は継父のような男の汚らしい考えがすぐにわかる。

でも、それは私には関係ない。なぜなら、私も律子が嫌いだったから。

彼女はあまりにも多くのものを持っている。

あの夜、彼女が私と凉太の「関係」を目撃したとき、私は彼女への嫉妬心が最高潮に達した。

どうして彼女だけが高い場所にいられるの?どうして彼女だけが清らかでいられるの?どうして彼女だけが幸せを享受できるの?

この泥沼の中にいる虫は、私一人ではないはずだ!

律子、私はお前を狙った。お前も私と一緒に地獄に落ちるんだ。

見ての通り、私は心の奥底まで腐りきっている。母と全く同じだ。

律子が私に手を差し伸べてきたとき、私はその手を握るふりをした。

でも、心の中では彼女を私の代わりに地獄へ送り、自分が彼女の幸せを掴むことを考えていた。

律子と春樹が結婚して2か月が過ぎた頃、私はついにチャンスを掴んだ。

私は律子を郊外に遊びに誘った。その日は予報通り天気が急変し、大雨が降り出した。局地的な雷雨だという話だった。

私たちはびしょ濡れになり、近くのホテルで体を拭き着替えることにした。

私が浴室に入ると、すぐに凉太に連絡を取った。

もしかしたら、一瞬だけ迷いがあったのかもしれない。

「こんな善良で無防備な女性を陥れるのは良くないんじゃないか」って。

でも、心の中
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    私の実の父はギャンブル依存症だった。借金を作り、負ければ家に戻ってきて母や私に暴力を振るう。そんな日々の中で、春樹だけが私の絶望を何度も救い出してくれた。彼は私の暗い人生に射し込んだ唯一の光だった。誰がこんな風に変わると思うだろう?その後、父は膨れ上がる借金を抱え、私たち親子を捨てて逃げた。そしてさらにその後、母が出会ったのが凉太だった。母が凉太と結婚したとき、私は少しだけ期待していた。凉太は背が高く、整った顔立ちで親しみやすい人だった。棒付きキャンディーをいつも買ってくれて、実の父とは全く違う人だったからだ。彼が私の新しい父になるのは、悪くないと思っていた。母は私を連れて、凉太は彼の娘を連れて、新しい家族を作った。凉太の娘――それが真理子だ。ただし、真理子は凉太の実の娘ではなかった。真理子の母親は未婚で妊娠し、恋人に捨てられた。真理子が10歳のとき、凉太に出会い、彼の好意で母子ともども受け入れられた。それから家族として一緒に暮らすようになったという。しかし、その後、真理子の母親は凉太が自分を愛していない現実を受け入れられず、家を出て行った。そしてそれきり消息不明になった。真理子と凉太はその後も、父娘として仲良く暮らしていた。凉太が私の母と結婚したことで、私たちは4人家族になった。私は優しい継父を手に入れただけでなく、遊び相手の姉もできた。新しい家庭で私たちは幸せに暮らし始めた。だが、その幸せは長く続かなかった。私は凉太と真理子の間に「誰にも言えない秘密」があることに気づいてしまったのだ。ある晩、私は寝る前に水を飲みすぎてしまい、夜中にトイレに行きたくなって目を覚ました。トイレに行く途中、真理子の部屋の前を通りかかった。「パパ、これからはお母さんに計ってもらったほうがいいんじゃない?」「ずっと俺がやってきたんだ。採寸なんてお母さんに手間をかける必要はない。ここで俺が測れば十分だ。明日の朝、そのまま仕立て屋に持っていけば済む」ドア越しに聞こえるその会話に、私は不安な気持ちを覚えた。ドアの隙間から漏れる光が見えたので、私は思わずその隙間に耳を寄せた。部屋の中では、真理子が白いスリップ姿で薄暗い照明の下に立っていた。彼女の小さな手はスリップの裾をぎゅっと握り、体が小刻みに震えて

  • 見捨てられた者の心の叫び   第6話

    目を覚ますと、私は凉太の家にいた。きっと人目がないところで、私を殴って気絶させ、連れ帰ったのだろう。怒りに震えながら、私は部屋の中にある物を片っ端から叩きつけた。その物音を聞きつけて、凉太が部屋に入ってきた。「起きたか」「何をするつもりなの?この変態!」「バシッ!」突然、頬に平手打ちを受け、頭がぼうっとするほどの痛みが走った。「謝れ!」彼は怒りに燃えた目で私を睨んだが、私はその目に負けじと睨み返した。「変態!変態!変態!」次の瞬間、彼の手が私の首を締め上げた。その唇は怒りで固く結ばれていたが、やがて片方だけが不気味に歪んで上がった。「俺が変態だと?じゃあ、お前自分のことどう思うんだ?」「自分の母親に隠れて、継父と体の関係を持ったくせに」そう言いながら、彼の指が私の太腿を強く掴んだ。「俺はこれから出張だ。その間、大人しくしていろ。さもなければ――春樹を始末させるぞ。刑務所の中だろうが、そんなの関係ない」彼はドアを勢いよく閉めて、出て行った。私は彼の背中を見つめながら、涙がこぼれないように必死に耐えた。どうして、彼にまだこんなふうに脅されなきゃいけないの?私の人生はこのまま、永遠に彼に壊され続ける運命なの?

  • 見捨てられた者の心の叫び   第5話

    私は司法妨害の罪で、6か月の懲役刑を受けた。その6か月間で、私はようやく「恋愛バカ」から抜け出すことができた。これからどう生きるか、真剣に考える時間があった。出所したら、私はちゃんとした生活を始める――そう心に決めた。出所の日、迎えに来たのは継父の凉太だった。彼は44歳という年齢だが、年老いた印象はまったくない。スーツをきちんと着こなし、整った身だしなみは今でも女性を魅了する色男そのものだった。私が姿を現すと、彼はすぐに近寄り、大きく私を抱きしめた。「痩せたな......」その声には、心配するような優しさが込められていた。しかし、私はすぐにその腕から逃れ、手にした荷物をしっかりと握りしめた。「さあ、家に帰ろう」彼の表情には非の打ちどころがなかった。まるで娘を心から大切にしている良き父親のようだ。だけど、私は知っている。いや、真理子も知っていた。「見かけは立派だが、中身は悪魔」という言葉は、まさに凉太のような男のためにあるのだ。「帰りたくない!」私は彼を無視して、その場を去ろうとした。これ以上、彼と関わりたくなかったのだ。「律子、聞き分けなさい。わがままを言うんじゃない」彼は声を和らげて私をなだめようとしたが、その瞳の奥にはちらりと威圧的な光が見えた。「どいて、変態!」かつて私は彼に逆らえなかった。母を傷つけたくなかったし、母に負い目を感じさせたくなかったからだ。けれど、母は一年前に亡くなった。そして、私は春樹に自分の過去を知られるのが怖かった。だけど――彼との関係はもう終わったのだ。私はもう何も恐れるものなんてない。もし凉太がまた私に手を出してきたら、私は彼を社会的に抹殺してやる!「律子、ふざけるな。帰るぞ」彼の声が低くなり、威圧感を帯びた。分かっている。これが最後の警告だということを。昔なら、私が彼の車に大人しく乗らなければ、母が酷い目に遭わされていた。でも、今は――「まだ私を脅せるものがあると思う?」私は一歩一歩、彼に近づきながら問いかけた。「俺は......」「私がまだ昔の、何も知らない世間知らずの少女だと思ってるの?それとも、自分の容姿で私を惑わせられるとでも?」彼の目に一瞬、動揺の色が浮かんだのを私は見逃さなかった。「見て

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