授賞式が終わった後、僕は行方を隠すようにしていた。 だが、結局のところ、白河佳音の両親が僕を見つけ出してきた。 彼らが僕を引き取ったのはまだ壮年で、意気揚々としていた頃だ。だが、今目の前にいる二人は、両鬢が白髪に覆われた老人だった。 彼らへの感情は複雑だ。 僕が最も苦しい時期に手を差し伸べてくれたことには感謝している。もしあの時助けがなければ、僕は学校に通うことさえできなかっただろう。一方で、僕は彼らを恨んでもいる。彼らが僕を白河佳音という泥沼に押し込み、逃げ場のない状況にしたからだ。 長い沈黙の後、口を開いたのは白河おばさんだった。「伊吹くん、最近元気にしてる?」 「ええ、元気です」 「佳音との間で少し揉めたっていうのは分かってる。普通なら、私たち親が口を挟むべきことじゃないんだけどさ。でも、あの子も霧葉も、あんたのことで食事も喉を通らない状態なのよ。霧葉の成績も下がった一方でね。あんた、そんな状況を望んでるの?」 「これまで私たちがあんたに辛く当たったのは認める。でも、あんたも親になったんだから、私たちの気持ちも分かってちょうだい。ただ佳音に安定した未来を与えたかっただけなのよ」 「今回だけでいい、母さんからのお願いだ。戻ってきて、もう意地を張らないで」 目の前の彼女は、かつて陰で僕を「怠け者」と罵った毒舌な女ではなかった。今はただの、人生の終わりを迎えようとしている老女に過ぎなかった。 普段厳めしい顔つきの白河おじさんが、今はただため息をつきながら座っていた。もし白河佳音と白河霧葉のためでなければ、彼らもこんな風に穏やかに話し合おうとしなかっただろう。 結局のところ、僕にはまだ利用価値があるというだけの話だ。 「僕は意地を張っているわけじゃないし、気まぐれでこんなことをしているわけでもない。これは、ずっと前から考えて決めていたことなんだ」 そう言いながら深く息を吸い、続けた。「あなたが陰で僕を罵ったこと、白河佳音が夜遊びして帰ってこなかったこと、白河霧葉が僕のことを『おじ』と呼ぶように仕込まれたこと、その度に離婚を考えました。でも、僕は耐えました。あなたたちに恩を返したかったからです」 「今はもう、僕はあなたたちの望み通り、僕の娘に白河の姓を与え、すべての財産を放
Last Updated : 2024-12-25 Read more