今日のスケジュールがすべて終える頃には、太陽はほぼ沈みかけていた。明日でこのバラエティ番組も最終回だ。美琴の顔をもう二度と見なくて済むと思うと、寿命が10年延びたような気分だった。外でシャワーを浴び、すっきりしてテントに戻ると、中から女性の声が聞こえてきた。考えるまでもなく、美琴に違いない。美琴:「ねえ、朝、凜華ちゃんに私たちの中学時代の写真を見せたのよ。あの子の顔、どれだけ険しかったか分かる?匠真さん、信じて、あの子が本気であなたを愛してるなんてありえない。だって、あなたがどん底だった時期を知ってるのは私だけなんだから。彼女と一緒にいて、何が得られるっていうの?あなたは芸能界のトップスターで、私は人気絶頂の女優。私たちこそ、まさに最高のカップルでしょ?もしよかったら、今夜私のテントに来て……」美琴の言葉はどんどん度を超していく。テントにカメラがないからって、こんな無茶苦茶な誘い方が許されると思ってるのか?!私は「バッ」と勢いよくテントの幕を開けた。怒鳴りつけようとした矢先、匠真が先に動いた。棒を手に取り、冷酷に言い放つ。「朝、君のお母さんに言ったこと、もう忘れたのか?男だろうが女だろうが、俺を怒らせたら容赦しない」美琴は思わず一歩後ずさった。今の匠真の気迫は、彼女を震え上がらせるほどだったのだろう。私がテントに入ると、美琴は勝ち目がないと悟ったのか、何も言わずにその場を去った。匠真は私を見ると、ふっと表情を和らげ、「凛華ちゃん」と優しく呼びかけた。私は彼の頬をそっと撫でながら、柔らかく微笑んだ。「怒らないで。あんな人のことで怒るなんて、時間の無駄よ」
最終更新日 : 2024-12-16 続きを読む