All Chapters of 明月はいかに皎々たり: Chapter 11 - Chapter 13

幸也は続けて言った。「佐山家と秋山家の婚約は確かに父が決めたことだが、誰と結婚するかを決めるのは俺の意思だ。君たちがどうやって俺が秋山美雪を好きだと勘違いしたのかは知らないが、今ここで断言しておく。俺は最初から最後まで彼女を好きになったことはない。俺が好きなのは、秋山里香ただ一人だ」「二度と里香に対して失礼な言葉を吐いたり、手を上げたりするのを俺に見せるな」誰の耳にも、この言葉に込められた警告の響きが伝わった。父や母、姉がいつ立ち去ったのか、私は全く気づかなかった。ただ、幸也の広い背中をじっと見つめ、心臓が飛び出しそうなほど速く鼓動していた。幸也は振り返り、私の額を軽く弾いた。「馬鹿、あいつらにそんなことを言われても反論しないのか？」私は俯いた。「無駄だよ。何を言っても無駄だ、あの人たちは聞いてくれないんだから」幸也は二歩近づいてきたかと思うと、次の瞬間、私は彼の腕の中に抱きしめられていた。幸也の顎が私の頭の上に乗り、低く静かな声が耳元に届いた。「泣きたいなら泣けよ。俺が隠してやる、誰にも見られないように」泣くつもりなんてなかったはずなのに、幸也がそう言った瞬間、どうしようもなく泣きたくなった。鼻の奥に酸っぱい感覚が広がり、目元が熱くなったかと思うと、涙が止めどなく流れ落ちていった。私は幸也の服のすそをしっかりと握りしめ、顔を彼の胸に埋めながら、泣き叫んだ。「どうして、私も両親の娘なのに、どうして彼らは私を好きにならないの。私が賢くないからなの？」「でも私は一生懸命頑張ったの。姉みたいに何でもできるようになりたかったし、甘い言葉だって話せるようになりたかった。でも、やっぱり彼女には敵わなかった」「私はずっと親の言うことを聞いてきた。彼らが何をしろと言っても従ったし、私を田舎に送った時だって、毎年彼らが迎えに来るのを待っていた。でも一度も来てくれなかった」「ずっと待っていた、何年も待っていたのに、やっと彼らが私に会いに来た時は、姉の代わりに結婚しろと言われただけだった」「結婚なんてしたくなかった。会ったこともない男となんて結婚したくなかった。でも、彼らは祖母を盾にして私を脅した」「私はどうしようもなかった。本当にどうしようもなかったんだ」私は幸也の胸に倒れ込んで泣き続け、この半生の全ての屈