年下の弟に転生した彼に執着されて のすべてのチャプター: チャプター 11

目を覚ますと、病院のベッドに横たわっていた。部屋は鼻を刺す消毒液の匂いが漂っている。目を開けると、ベッドのそばで伏せている男性の姿が目に入った。「あなた、誰？」私の声に反応して、その男性が驚いたように顔を上げた。「真奈、目が覚めたのか」それでも私はしつこく問い続けた。「だから、あなた誰？」彼は一瞬で慌てふためき、立ち上がると看護師を呼びに行こうとよろめきながらドアの方へ向かう。そんな彼の背中を見て、私はとうとう堪えきれず笑い出してしまった。「ははは......」私の笑い声に、颯真は足を止め、ゆっくりと振り返った。「やるな、真奈。また僕をからかったな！」私は得意げに顎を上げて、挑戦的な笑みを浮かべる。「お互い様でしょ？だって、前にあなたも『佐倉悠真』だなんて嘘ついたじゃない」颯真は一瞬言葉を失い、次の瞬間には私の頬を揉もうと手を伸ばした。だが、私の青ざめた唇に気づいたのか、動きを止め、手をそっと下ろした。代わりに、彼は私の唇に軽く触れるようなキスを落とした。その後、彼は近くのテーブルから小さなナイフを手に取った。その様子に、私は一瞬で背筋が凍りつき、咄嗟に両手で顔を覆った。「颯真！まさか、口封じするつもりじゃないよね！？」しばらくの沈黙の後、何も起こらなかった。それを気づいた私は、指の隙間からそっと彼を覗き見た。ただリンゴの皮を剥いていた。リンゴを剥いてるだと？あまりの意外さに、私は思わず口をぽかんと開けた。私の呆然とした表情を見た颯真は、笑いを堪えきれず私の顎を軽く叩いた。「そんなに驚くなよ」「だって......颯真、リンゴを剥くなんて！」私は再び周囲を見回し、確認していた。ここは確かに病院だ。でも、もしかしてここが天国なのでは？「余計なこと考えるな」颯真は剥いたリンゴを一切れ私の口に押し込み、冷静にそう言った。やっぱり、相変わらず腹黒なやつだ。リンゴを食べ終えた私は、興味津々で彼に問いかけた。「それでさ、どうやって私を見つけたの？」その瞬間、颯真の顔がみるみる赤くなり、耳元まで熱が上っていった。彼は話したくなさそうだったが、私の好奇心に負けた。彼は諦めたように眉間を揉みながら答えた。「あの日、あの悠司のオフィスで、お前