部屋に戻った月島明日香は、汚れた服を脱ぎ、クローゼットの前に立って服を選んでいた。ちょうどその時、壁の外から佐倉遼一の声が聞こえてきた。「今回、会社に急用があるんだ。もし早く片付いたら、できるだけ早く戻ってくるよ」白川珠子は優しく答えた。「私は大丈夫だよ。佐倉お兄ちゃん、お仕事を優先して、帰ってくるのを待ってる」「分かった。疲れたら俺の部屋で休んでいい。シーツも布団カバーも替えたばかりだから」「うん、分かってるわ」足音が遠ざかるのを聞いて、月島明日香は彼が去ったものだと思い、ホッと一息つこうとした。ところが、次の瞬間、部屋のドアが急に開いた。咄嗟に、月島明日香は手にしていた服を持つ手が固まり、顔がまるで火に包まれたように赤く燃え上がった。彼女は慌てて服を胸元に押し当て、なんとか自分を隠そうとした。佐倉遼一は彼女の裸の背中を見て、ドアノブにかけていた手が一瞬硬直したが、すぐに目を逸らした。正直に言えば、月島明日香はまだ18歳とはいえ、同世代の誰にも劣らない見事なスタイルを持っていた。月島明日香の瞳がかすかに震えた。何年も夫婦として過ごし、数え切れないほどの夜を共にしてきた。彼女の体のどこも、彼にとっては見慣れたもののはずだった。それなのに、なぜかその瞬間、月島明日香の心は乱れた。まるで初めて佐倉遼一と出会ったかのように、動揺してしまったのだ。彼が何かを見たのか、そうでないのか......彼女にはわからなかった。月島明日香は後ろを振り向く勇気がなく、急いでドレスを身に着け、無理やり平静を装いながら言った。「お兄ちゃん、何か用?」佐倉遼一はポケットから一枚のカードを取り出し、少し離れたテーブルの上に置いた。薄い唇を少し開き、低く掠れた声で言った。「取引先からもらったショッピングモールのギフトカードだ。服やアクセサリーが足りなかったら、このカードを使え。君と珠子、二人に一枚ずつだ」「うん、ありがとう、お兄ちゃん」佐倉遼一は目を伏せ、ドアを静かに閉めた。彼はその場を動かずに立ち尽くし、喉仏が上下に動いた。体内に潜んでいた欲望がまるで獣のように、今にも暴れ出しそうになっていた。数秒が過ぎ、ようやく彼は足を動かし、会議の資料を手に取り、車に乗り込んだ。キーを回し、ハンドルを握りながら、頭の中に一瞬だけ、少女の腰の
Last Updated : 2024-11-22 Read more