涼奈は手を引っ込めることなく、笑子と一緒にソファーに座り、礼儀正しく「おばあさま」と声をかけた。その一言で、笑子の顔はパッと笑顔で輝いた。「涼奈ちゃん、本当にいい子だね。もう緊張しないで、これから私たちは家族になるから、何かあったらおばあちゃんに相談して、おばあちゃんがあなたを守るから」と彼女は涼奈の手を軽く叩いた。涼奈は唇の曲げて、心の中で思った。緊張しないわけにはいかないだろう?だって嫁ぐ相手は躁鬱病の持ち主でしょ?。おばあさまがこんな風に言うのも、自分を安心させるためなんだろう。今夜、いったい何が待ち受けているのか。涼奈はもともとどんな状況にも適応するタイプだった。以前はもっと困難な環境も乗り越えてきたのだから、冷泉家だって怖くない。ここまで来てしまった以上、後退するわけにはいかない。それならば、自分の権利くらいは主張しておくべきだ。涼奈は笑子を見つめ、潤んだ瞳に光を宿し、頬にはほんのりと赤みが差している。指先を恥じらうようにすぼめながら、おずおずと話し始めた。「おばあさま、父が私にここに来て結婚するようにと言いました、でも......先に学校に通わせてもらえませんか?まだ子供を産みたくないんです」と言った。笑子がその言葉を聞いて、涼奈への愛おしさと好感がさらに深まった。なんて向上心のある子なのだろう。気立てが良すぎて、胸が締め付けられる思いだ。「もちろんよ。ここに来てもらったのは、冷泉家で生活してもらいながら慣れてもらうためなの。朔夜とも少しずつ生活習慣を合わせていけばいいわ。すぐに何か義務を果たさなければならないわけではないから、心配しないで」涼奈はほっとした。この家はそこまで非常識ではないらしい。冷泉家の対応はとても迅速だった、笑子と話している間に、涼奈の居場所がすぐに整えられた。もう遅いので、笑子も帰るべき時間だ。彼女は執事に涼奈に服をいくつか用意するように言った。今日は彼女の気分がとても良く、終始笑顔を絶やさなかった。「涼奈、おばあちゃんは古い家に住んでいて、ここから遠くないわ。もし退屈になったら、おばあちゃんの所に遊びに来ていいのよ。おばあちゃんはここであなたたちの邪魔をしたくないからね。自由に歩き回って、環境に慣れておいて、夜には朔夜が帰ってくるわ」と笑子は唇を曲げて、涼奈の
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