響也が家にこもってから5日目、ついに知らせが届いた。「橘さん、心の準備をしておいた方がいいかもしれません」電話の向こうから隅田先生の沈痛な声が響いてきた。「DNA鑑定の結果、船上で紫音ちゃんの血痕が確認されました。そして、木下芽依も罪を認めました…… 当時、木下芽依は物資を持ち出して逃げようとしていて、それを紫音ちゃんに見つかり……おそらく彼女はよくても無期懲役になるでしょう」隅田先生の声が震えていた。「長い年月、紫音ちゃんを誤解していたのです……」響也は静かにその結果を受け入れた。「分かりました」電話を切ると響也は数日ぶりに家の外に出た。響也の姿を見た瞬間、木下芽依の目は一瞬で輝いた。「響也、私を助けに来てくれたの?」響也はその問いに答えず逆に尋ねた。「木下芽依、紫音を殺した時、怖かったか?後悔しているか?」木下芽依はガラス越しに橘響也を見つめ表情を固くした。「それを聞きに来たの?そうね。後悔なんてしていない。どうして彼女だけが調査隊でうまくやれて、みんなに愛されるの?どうして彼女があなたと結婚するのよ?彼女の幸せが気に入らなかったの」「木下芽依!」響也は怒りを込めて叫んだ。「だから何?」木下芽依は嘲笑を浮かべながら、「橘響也、あなたこそが九条紫音を死なせ、あなたたちの子供をも犠牲にした張本人なのよ。あなたは一生苦しみと後悔の中で生きるのよ!」木下芽依は響也の痛みを一番よく理解していた。空中に漂う私は、そのやり取りがただ滑稽に思えた。どうして私が死んでから、響也は私を大切にすることを学んだの?それに、私のためにあの「憧れの人」と決裂するなんて?「響也、言っておくけど、九条紫音はこの世でも来世でもあなたを許さない」狂気に満ちた木下芽依を前に、響也は突然冷静になり皮肉な笑みを浮かべた。「君の言う通りだ。紫音は俺を許さない。だから、俺は彼女に償いに行くんだ」私の埋葬の日はあたり一面青空が広がり、すがすがしいほど天気が良かった。その日木下芽依は無期懲役を言い渡された。そして私の資格と名誉は調査隊によって回復された。響也と調査隊の他のメンバーは私の遺体を火葬した。申し訳なさからか、皆の顔には深い悲しみが溢れていた。かつて共に生死を共にした隊員たちは、私の墓前に長く跪
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