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第177章 攻撃的な

三井鈴は少し遅れて反応し、困惑した表情を浮かべた。

周囲の視線が自分に向けられ、胸がドキドキと高鳴る。

三井鈴は続けて言った。「今回のファッションショーについてはあまり詳しくないので、先輩方の方がよくご存知だと思います」

その言葉には謙虚さが滲んでいた。

熊谷教授は三井鈴の卑屈にならない態度に非常に満足していた。

「三井さん、今回の大役を担ってみる気はありませんか?」

この言葉が出ると、周囲の人々は驚愕した。

熊谷教授が三井鈴にこれほど信頼を寄せているとは、これは直接的な任命なのか?

しかし、三井鈴には特に目立った作品がないため、これでは皆を納得させることはできないのではないか。

三井鈴は驚きの目を輝かせ、その知らせに打ちのめされたようだった。口を開こうとしたが、周囲の人々が先に口を挟んだ。

「熊谷教授、三井さんはまだ経験が浅いですから、いきなりこれほど大きな役割を引き受けるのは、少しやりすぎではないでしょうか?」

「そうですね!やはり、先生の学生である岩本美穂子の方が今回の主デザイナーにふさわしいと思います。彼女は大小さまざまな案件を手掛けており、ほとんど完璧に仕上げています」

「岩本さんのデザインスタイルも独特で、この業界では確実にトップクラスの能力を持っています」

三井鈴よりも、皆は岩本美穂子を支持していた。

これは場にいる全員の共通認識だった。

結局、彼らは三井鈴のことをネット上の噂でしか知らず、他には何も知らなかったため、若い彼女がデザイン界で無名の存在であることを信じることができなかった。

もしこのファッションショーを台無しにしてしまったら、みんなの面子が潰れてしまう。

「熊谷教授、もう少し考えてみてください!」

岩本美穂子は周囲の意見を聞いて、心の中で少し安心した。

しかし、表情には全く表れず、ただ熊谷教授の様子を慎重に伺っていた。

最終的には自分のためにチャンスを求めた。

「先生、私にも一度チャンスをください!」

岩本美穂子の目には期待が溢れており、明らかに彼女はこの主デザイナーの座を狙っていた。

熊谷教授は考え込んで、何も言わなかった。

周囲の人々はその様子を見て提案した。

「熊谷さん、あなたも困っているようですし、こうしましょう。三井さんと岩本さんの二人がそれぞれ、今回のファッションショーのテーマ
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