第8話

私は一人で隔離された部屋で治療を受けていた。医者や食事を運んでくる人以外、誰も部屋に入ってこなかった。

その日、寮に戻った私は、優花がベッドでネイルを塗っているのを見かけた。

あの日のことを思い出すと、少し気まずく感じる。実は、私はかなり戸惑っていた。座る場所がわからなくて、どうしていいか迷ってしまう。

「塗る？」優花はちらっと私を見ながら言った。「すごくいい匂いだよ」

私は首を振った。「うーん、いいや。あまり好きじゃない」

「本当に警察の情報提供者なの？」

優花は「ふふっ」と笑って言った。「そんなこと聞かれたら、答えるしかないじゃん」

私は一瞬、言葉が出なかった。

「冗談だよ。海斗が嘘をついてるわけじゃない。私たち、本当にいい人たちだから」優花は笑顔を収めて、真面目な顔になった。

酔っている人が自分の酔いを認めないように、悪人も自分の顔に「私は悪党だ」なんて書いてあるわけではない。

「いつから配信を始めるの？」

優花は足を上げて、ライトの下でネイルがちゃんと塗れているかを確認しながら言った。「明日だけど、今日は簡単な研修が必要だね」

研修と言っても、大したことはなかった。少しのフレーズと、配信中に使う道具を教えてもらっただけだ。

私はご飯をかき混ぜながら聞いた。「なんでこんなことをしたの？一緒にあんなことをやった理由は？」

「ここではこれがルールなんだよ。上司に見せるために、どんな新しい人でもまずはテストしなきゃいけない」と優花は答えた。

ご飯がもうすぐ終わると、底に隠されていたメモを見つけた――「私こそ本物の警察だ」

食事を運んできた男が、このメモを渡してくれたのだろうか。

そのメモのことを簡単に話すことはできなかった。私はそのままメモを飲み込んだ。

寝る前、食事を運んできた男が部屋に来た。何気ない様子で、私の背中に軽く触れた。

「萌香、どれだけ大胆なことをしてるんだ？寝たふりなんかして、俺に挨拶しないなんて、飯食う気ないのか？」

彼が一人で話す機会を狙っているのはわかっていた。「体調が回復したばかりで、少し元気がないんだ」

「バカ女、出てこい」男は私を無理に引っ張り出して、足を引きずりながら部屋の外へと引っ張った。

私は、彼が寮から離れた場所で話をしようとしているのだろうと思っていたが、予想に反して、廊下の隅に作られ