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第8話

Author: 折野妖子
last update Last Updated: 2025-01-09 10:28:12
出発当日、八柳美紀は初めて智弘に会った。

智弘は身長180cmほどで、ハンサムで、まさに人生の最盛期にあり、学生時代には女性からのアプローチが絶えなかった。

八柳美紀はしばらく智弘を見つめた後、父を一瞥し、突然私に向かってこう言った。

「真衣、あなたは本当にいいものを食べてるわね」

私と智弘は少し時間が経ってから彼女の言葉の意味を理解し、二人とも顔を赤らめた。

N市まではそれほど遠くなく、車で半日もあれば到着する。

出発前、私は八柳美紀が道中で何か問題を起こすのではないかと少し心配していた。しかし意外にも彼女はとてもおとなしく、車に乗るなりすぐにぐっすり眠ってしまった。

本当に父が言っていたように、彼女の性格が変わったのかもしれない。

一人で家に閉じこもりきりでは、確かに精神的におかしくなることもあるだろう。

そんなふうに考えると、私は八柳美紀が私たちと一緒にウェディングフォトを撮りに来ることをあまり気にせず、できるだけ彼女に気を配ることにした。

スタジオの三日二晩のスケジュールに従い、その日の午後、私と智弘は撮影スタイル、ロケーション、そして衣装を決めることになっていた。

八柳美紀が半日の車の移動で体調を崩すのではないかと心配して、先にホテルで休むよう勧めたが、彼女はそれを拒否して「一緒に選びたい」と言った。

「私はあなたの本当のお母さんではないけれど、あなたに対してできるだけの責任を果たしたい」と彼女は言った。

彼女の言葉に私は少し感動した。実際、彼女は口が悪いところはあるが、根っから悪い人間ではない。私は彼女の提案を受け入れた。

私たちは合計で四つの撮影スタイルを予約した。内撮りが二つ、外撮りが二つだ。

内撮りでは油絵風と宮廷風を選び、外撮りでは私の好みで庭園スタイルを選んだ。

あと一つ残っているが、私はどれにするか迷い始めた。

黙っていた八柳美紀が突然口を開き、画面に映っていたサンプル写真を指差して言った。

「私はこれがいいと思うわ。とてもロマンチックだし、真衣、これを選んでみて。絶対に素敵な写真が撮れるわよ」

私は画面を見た。それは海辺の写真のセットだった。

女性はアレンジされた短めの白いドレスを着て、男性のスーツジャケットを羽織り、月明かりの下で崖のそばに立ちながら男性とキスをしていた。

そばの地面には装飾用のキ
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