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第0049話

瑠璃は、目を見開いて硬直した。蛍が身に着けているその指輪、それはかつて瑠璃が自らデザインしたものだった。

「瑠璃、あなたもなかなか才能があるわね。このペアリングのデザイン、素敵よ。とても気に入っているの。そして一番嬉しいのは、この指輪を隼人が自分の手で私にはめてくれたことよ」

蛍の目には、誇示するような輝きが浮かんでいた。

瑠璃は拳を固く握りしめ、手にしていたスマホを強く握り締めた。そして、皮肉な笑みを浮かべた。

「蛍、つまりあなたが、私を陥れて、オリジナルの作品を盗作に仕立て上げたと認めるのね?」

蛍は満足げに笑った。「そうよ、だから何?誰があんたを信じるの?あんたなんかに私と戦う資格はないわ」

「認めたのね。それだけでいいわ」瑠璃は冷たく笑い、そのまま背を向けた。

瑠璃のその異常な態度に、蛍は不安を覚えた。何かがおかしい。しかしその時、瑠璃はすでに車に乗り込んでいた。

しばらくして、ネット上で一つの短い動画が爆発的に広まった。

動画には、蛍の顔が鮮明に映っており、彼女の発言が一言一句、しっかりと収められていた。

瑠璃は、多くのネットユーザーがその真実に驚愕し、彼女に同情する声が広がるのを見た。

「彼女は冤罪だったんだ」

しかし、すぐにコメント欄は管理され、世論が操作され始めた。

「四宮蛍は仕方なくこうしたんだ。彼女は四宮瑠璃に流産させられたんだから、当然だよ」

「四宮蛍が失った子供に比べたら、四宮瑠璃が失った名誉なんて大したことじゃない」

大したことじゃない……?

瑠璃は目を閉じた。彼女が失ったのは、ただの名誉ではない。最愛の娘も奪われたのだ。

だが、誰がその痛みを理解してくれるのだろうか。

瑠璃が住むアパートに戻ると、入口には高級車が停まっていた。

その車に近づくと、車のドアが開き、隼人が降りてきた。その長身と圧倒的なオーラは、瑠璃を圧倒した。

彼の存在感に圧され、瑠璃はその場を避けようとしたが、隼人が彼女の腕を掴んだ。彼の冷たく深い瞳が、鋭い光を放っていた。

「たとえ蛍がお前を盗作犯に仕立て上げたとしても、それがどうした?お前が失ったのは名誉だけだろうが。でも蛍はどうだ?彼女の子供をお前に殺されたんだぞ!ネットでこんなことを広めて、まだ蛍を苦しめ足りないのか?」

「お前が失ったのは名誉だけだろうが」って。

その言
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