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第8話

瀬川颯真番外編

僕は音が去るのを見送った。胸が重くて、まるで大きな石が乗っているような感覚だった。家に帰ると、体調が崩れて倒れてしまった。

人は時として愚かで、持っているときにはその大切さを理解せず、失ってから初めて過去を懐かしむものだ。

僕と琉真は6歳で両親を亡くした。

白井家と竹内家は慈善活動を熱心に行っていて、それぞれ僕たち兄弟に支援をしてくれた。

今でも、初めて音に会ったときのことを鮮明に覚えている。

彼女はピンク色のふわふわした小さなプリンセスドレスを着て、小さな王冠をかぶって、まるで陶器の人形のように美しかった。

その時、僕はまだ子供で、何が恥ずかしいのかも分からなかった。

ただ、彼女が山村の土の上に立っている姿を見たとき、周りの土埃が目障りに思え、灰色の自分は彼女の前で頭を上げることすらできなかった。

白井家が僕を支援してくれたことで、音と僕は同級生になった。

彼女は美しく、性格も良く、クラスメートや先生にとても好かれていた。

彼女は決して僕を嫌ったことはなく、おいしいものや楽しいことを僕とシェアしてくれ、他の子供たちにいじめられるといつも助けてくれた。遊びに行くときも、僕のためにお土産を買ってきてくれることが多かった......

音の良さは数えきれないほどあって、彼女を好きになるのはとても簡単だった。

小学校の4年生や5年生の頃、多くのクラスメートが早くも恋愛をし始め、僕もなんとなく音が好きだと気づき始めた。

僕は一生懸命勉強し、外見やマナーにも気を使った。

彼女はバドミントンが好きだったので、僕も練習を始めた。

彼女はバスケットボールを見るのが好きだったので、僕はバスケットボール部に入った。

彼女はJayChouの歌が好きだったので、僕は彼の曲を一生懸命覚えた......

僕はもっと良い自分になりたくて、そうすれば彼女のそばにふさわしくなれると思っていた。

中学校に進むと、僕の成績は毎回学年一位だったし、誰かが冗談で「校内のイケメン」と呼ぶこともあった。

音が僕を見ると、少し恥ずかしそうにして、僕の前ではより一層気を使っていた。僕は数ヶ月かけて、彼女に渡すための手紙を何度も書き直し、顔を赤くしながらそれを彼女に渡した。

中学2年生の時、僕たちは付き合い始めた。

手をこっそり握ったり、偶然手のひらが触れたり
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